写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

09 3日目午前中 ハバロフスク市電に乗る(2019年8月5日)

 路線図のないまま、ハバロフスク駅前から市電に乗ります。さっきのレーニン広場近くを通って、目的とする一番遠くまで行く市電は1番系統だったという覚えがあったので、それに乗ることにします。

 

 始発だから好きなところに座れるだろうと思っていたのですが、狙った一番前の案内図が貼っている席はタッチの差で座れず、反対の席へ。ここはシールのあとがあり、外が見にくいです。車内に貼ってある路線図を覗くと、やはりこの1番線でいいようです。ちなみに片運転台で、座席は進行方向向き。終点がループ式なのでこういう電車を走らせることが可能です。

 

 途中で狙った席が空いたので移ります。景色も窓の状態もこちらの方がいいです。レーニン広場の近くを過ぎ、ここからは未乗区間。坂を下って右に曲がり、郊外区間に出ると終点まで道路の脇にある緑地帯の専用軌道

 

 終点まで乗りますが、路線図がキリル文字でかつ字が小さいし、停留所も全部の電停に名前が表示されているわけではなく、どのあたりを走っているのかよくわからなくなります。右側は道路で車がたくさん走っていますし、アパートや店が続いていますが、左側は林のようです。ですから森林の中に電停がある感じです。まあ左側でも、ひらけているところにはスーパーがあり、その周辺では果物やアイスクリームの露店が出ていました。

 

 ガイドブックなんかに日本のトラックの中古車が漢字の表示をつけたままよく走っている、と書いてありましたが、実際見てみると、ここでもウラジオストクでもさほど多くありません。4~5回、何とか仏具店とか書いていあるのを見た程度。ただ、車は圧倒的に日本車が多いです。たまに韓国のヒュンダイがあります。でも並行して走っている、町中でよく見かけた真新しく真っ赤な5つ星マークのバスは中国製を使っているようでした。こちらの電車はオンボロです。でもこういう方がいいのです。

 

 途中で長髪で個性的な髪型をしたイケメン少年君が乗ります。ロシア人男性はスポーツ刈りが多く、はげた人は坊主、というパターンが多いです。長髪少年は珍しく、こういう髪型をすればイケメンだらけになるのだろうがなあ、と思います。

 

 ところで電車はいつまでたっても終点につきません。もう1時間以上乗っています。途中で分岐するところがあるはずですが、そこもまだのようです。一体どこまで連れて行かれるんだ、と不安になりますが、市電なので終点があるはずです。そうこうしているうちに分岐点をようやく過ぎ、もうしばらく進んでいきます。

 

 しばらくして路線図と一致する駅名が読み取れ、ようやくだいたいどこにいるのかわかりました。まだ結構あります。電車はだいぶガラガラになりました。終点近くになると、おじさんが線路脇を歩いていたりします。

 

 終点直前に一旦停止して橋を渡ります。この橋がガントレットになっているのです。ガントレット、とは、複線だった線路がその橋の部分だけ1本の線路になるのですが、単線になるのではなく、2本の線路が重なり、4線軌条状態になっている、というものです。動画でこの存在を知り、行ってみることにしました。橋を渡るとまもなく終点。Химфармзаводという終点だったようです。結局1時間半ぐらいかかってしまいました。郊外電車の役割も兼ねているのでしょう。

 

 運転手はおばさんで、ここで簡単な点検します。乗ってきた電車は奥に進み、ループ線の途中で休憩。その後動き出して反対側の停留所に停まり、出発。こちらは見送ってガントレットの橋に近づき、見学。電車は頻繁に運転されているので、見送っても大丈夫です。川は北海道の田舎にもありそうな清流です。そこにあるガントレットの橋を電車が通り過ぎます。4本のレールのうち2本だけを使うのですね。

 

 次の電車に乗ろうとしたのですが、新型なのはいいとして、全面広告車です。これでは窓から外が見にくいです。ということで見送ります。次に来たのも新型でしたが全面広告ではないのでこれに乗ることにします。どうも2008年製造の車両のようで、座席にもモケットがはってあり(旧型にはない)多少よいです。

 

 運転手は50代ぐらいのおばさん。運転手は市電もトロリーバスもおばさんばかりです。この運転手は黒地に花柄の派手なワンピースを着て運転しています。昔、祖母が夏場に着ていたような服です。こういう人が運転しているのですね。旧ソビエトの名残りでしょう。日本で議員や医学部の男女比が問題になりますが、電車の運転手の男女比が問題になるのを聞いたことがありません。こういうのが本当の男女平等じゃないのかなあ、と思ったりしました。

 

 2つめの電停でおばさん運転手がいなくなります。5分ぐらいで戻ってきました。トイレにでも行ったのかな、と思います。こういうのも日本ではないですね。今度は進行方向左側に座ります。ちなみに電車は右側通行。ですから専用軌道の左側にある道路と行きに乗ってきた線路を眺めながらの復路です。途中で運転手が代わります。新型のせいか、行きより妙に速く、思ったより早く帰ってきました。1時間くらいだったような。レーニン広場手前の電停で降ります。