写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

12 3日目午前中 メークロン線路市場へたどり着く(2020年1月9日)

 トラブル続きでしたが、マハーチャイの埠頭につきました。3バーツ払ってターチーン川の渡し船に乗ります。ここだったか、ついていった欧米人が料金所で手を合わせて挨拶します。私もぎこちなくまねします。

 

 どうも河口に近いのか、すこし大きな船も停泊しており、港町の雰囲気。渡し船にはバイクも多数乗っています。天気もよく、川風に吹かれて、本当なら気分のよいところですが、2度も続けてトラブルに見舞われたので、こんなところまで来て、このまま旅を続けていいものだろうか、また何かトラブルが起こるのではないだろうか、と不安げに思っています。

 

 すぐ対岸の埠頭につきました。ここで薄暗いアーケード街を抜け、表示板を確認して右に曲がり、今度は乾物屋が目立つ生活道路を歩きます。また例の赤白カップルと欧米人もいます。ですが今度は道案内を載せたブログ記事を印刷して持ってきているので、ついていかなくても、その通りに道があれば大丈夫です。

 

 ブログなんて、写真を載せて、ちゃんと道案内をする、という、私が印刷して持って行った記事のようなものが王道なのでしょうね。私のように偏屈で写真も載せず、ただ行程をダラダラ書いているブログは役立たずですから、多くの人には読まれないのでしょう。

 ブログ記事の指示通り、象の置物のある施設のところから細い道を抜ければ駅がありました。タイ人のひなたぼっこしていたおじさんが、駅はあちらの方、と声をかけてくれます。

 

 踏切を越えて、バーンラム駅。この駅は日よけの覆いがないので、明るくてこざっぱりとしています。他の起点終点駅のように陰鬱な感じはありませんでした。また窓口で10バーツの切符を買います。この線は1日4本しかないので、この列車を逃すと面倒なことになったのですが、10:10発の列車に間に合いました。早めに出たおかげと、思い切って簡易バスに乗ったおかげです。2つのトラブルがあって、この列車に乗ることは、ほとんど断念しかけていたのですが、何とかなりました。ホッとしますが、この列車だってどうなるかわからない、と思います。

 列車はこれまでと同じ近郊型ディーゼルカー。今度はさっきよりやや乾燥した大地の感じの印象がありました。でも湖があった気がしますし、確かこの線の最初の区間で、ここだったか、渡し船の手前の区間だったか忘れましたが、水路なのか湿地なのか、それが結構あり、椰子の木が水の中から葉っぱのあたりだけ顔を出している不思議な光景を見かけました。そしてなぜか水は白く濁っています。

 

 椰子の木や熱帯林に囲まれた水路に浮かぶ小型の船が白いものを載せて通行しているのも見えました。何だろう、と思っていたのですが、開けたところに出ると、どうもそこは塩田地帯のようでした。田んぼに似ていますが、どうも塩を作っているのでは、と思わせられる風景でした。

 1時間ほど列車に乗ります。今度は順調に走ってくれているようです。停車駅で停まる前にドアが開いたり、走り出してからドアが閉まったりしますが。それにやはりかなりガタガタします。

 町中に入り、列車がゆっくりになりました。終点近くなり、いよいよメークロンの線路市場のようです。ここは、線路上に不法占拠の市場が形成され、1日4往復の列車が通過するときだけテントを折りたたんで列車を通す、という、東南アジア的カオスの極致のようなところです。この存在を知ってから、タイ旅行に行く機会があれば、是非行きたいところの筆頭でした。

 

 以前は知る人ぞ知る、というところだったようですが、今は観光名所になっています。ガイドブックにも大きく載っており、また見学ツアーもあります。ですが肝心の列車に乗って来る人は案外少ないようで、列車は多少空き気味、という感じ。連絡するマハーチャイまでの線が止まったので、乗る人が少なかった可能性もありますが。いよいよ列車に乗ったまま、そこに乗り込みます。

 警笛を鳴らしてゆっくりゆっくり、時速5キロぐらいだそうですが、それぐらいのスピードで、約200メートルあるというメークロンの線路市場に列車が進入します。観光名所になっていますから、列車のすぐ脇にいるあちこちからの観光客がスマホやカメラを持って撮影し、手を振ってくれます。

 

 私も2つものトラブルを乗り越え、一時はたどりつけないか、とあきらめかけていたところについたので、気分が高揚しています。みんなが度重なるトラブルを乗り越え定時にメークロンにたどり着いた私を祝福しているように思えてしまいます。

 

 ということで、私には珍しく、車両の窓から手を出しておもいっきり振ります。もちろん店の軒先がすぐですから気をつけなければいけませんけど。線路のすぐ下にいる人たちが手を振り返してくれます。

 

 店の軒先はもちろん、線路下の軌道敷きにそのまま置きっぱなしの商品も見えます。魚に野菜、果物、そして山積みのスリッパや靴が、本当に2本のレールの両脇すれすれにまでおいてあるのです。知ってはいましたが、実際に見てみると、これはすさまじいものでした。11:10にメークロン駅に到着。ようやくたどり着きました。ホッとしますが、でも不通区間があるので、帰りをどうするか、という大問題が残ります。まだ不安は続きますが、それは次回に。