写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

09 五能線を普通列車で(2000年8月10日)

 旅行最終日の8月10日。朝食を食べ、7時過ぎにホテルを出ました。バス停を探しましたが、近くにはなく、ようやく見つけたバス停ではあと30分もバスがありません。仕方ないので駅の方に歩いていきました。かなり歩いたところで、他の路線が合流してきたらしく、バスが来たのでそれに乗りました。運賃表がないという田舎バスで、降りるとき運転手に料金を聞いて払いました。

 

 駅まで歩くことも覚悟して早く出てきたので、多少時間が余りました。今日は五能線に乗ります。この線も乗れそうで乗れない路線です。能代8:11発。3両編成です。花輪線のときもそうだったのですが、前夜あまり眠っていなかったので、眠くなってしまいました。

 

 でも、八森、というところで海が見え、思い切って窓を開けると気持ちよい風が入ってきて、眠気など吹き飛びました。ずーっと海が見えて、高いところから見下ろしたり、波打ち際を走ったり、フェリーと追いかけっこしたり。波音が聞こえる駅もありました。奇岩もあり、砂浜もあり、松林を通り抜けたり、私が好きな山陰本線の車窓にも似て、それ以上とも言っていい路線でした。

 

 冬は冬でまた別の風情があるでしょう。この線はSL時代、何度か列車が波にさらわれたということがあったそうです。慰霊碑も見えました。

 

 実は後続の「リゾートしらかみ」に乗ろうか、と思っていたのですが、途中観光地見物のため余計な停車があるのと、数日前の山田線での「ぐるっとさんりくトレイン」乗車が退屈だったので普通のディーゼルカーに乗ったのです。やはりこれが正解でした。

 

 窓の開くクロスシート車は今や貴重になりつつありますが、ローカル線の旅はやはりこれに限ります。五能線を窓の開かない車両で旅したら、価値は半減したとさえ思うのです。海風の気持ちいいこと。青森あたりを走る列車は冷房なんかいりません。昨年の肥薩線以来のお気に入り路線となりました。

 

 でもこの線も完全な時代錯誤。まあこの地域自体が時代から取り残されている地域かも知れません。20世紀の思い出になるのかなあ、なんて考えながらボヤーッと乗っていました。乗車率は思っていたほど悪くなく、ワンボックス一人ずつぐらいは乗っていましたけれど。

 

 深浦で長時間停車した後、鰺ヶ沢を過ぎると津軽のりんご畑を走り、川部で方向転換。といってもクロスシートなので席を移るだけです。弘前には12:43着。弘前駅も駅弁がなくなったようで、駅そばを食べて、13:08発701系で13:52青森着。701系は食傷気味なので特急に乗りたかったのですが、本数が意外と少なく、普通乗車と相成りました。