写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

14 チョ・ヨンナム「花開市場」(화개장터)

 韓国の歌の話を書いてもアクセスは伸びないのですが、今回もネタ切れ防止のため書きます。今どきのK-POPの話でも書けばいいのでしょうが、あいにく私には近頃の歌や歌手の知識がありません。

 

 「防弾少年団」(BTS)はさすがに名前だけは知っていますが、あとは日本の歌手と同程度、どこかで名前を聞いたことがあるかな、という程度です。私が韓国好きだと知って、前の職場の若い人がKーPOPの話をしてくることがあったのですが、残念ながら私の知っている韓国歌謡はまだ日本人がほとんど関心を持っていなかった時代のもの。K-POPの話にはついていけません。

 

 今回はチョ・ヨンナム(趙英男)氏の「花開市場」という歌。この歌そのものを知ったのは比較的最近です。マーチ風で、明るい曲です。

 

 この「花開市場」とは韓国南部、東の慶尚南道と西の全羅南道の境目にある市場だそうです。その市場を歌った歌。

 

 韓国では、かつて東南部の慶尚道と西南部の全羅道の反目がひどかったそうです。軍事政権時代、歴代の軍人大統領は慶尚道出身、弾圧されていた金大中氏は全羅道出身でした。光州事件で有名な光州は全羅南道の中心都市です。

 

 金大中政権以後は多少「恨」も和らいだのかもしれませんが、いまだに選挙があると全羅道は進歩系、慶尚道保守系、とはっきり当選者が分かれます。

 

 さらに「全羅道差別」というのがあり、いまは露骨に差別をするわけにも行かないでしょうが、差別とまでは行かなくても「地域感情」は根強いようです。

 

 つまり「花開市場」は、そんな慶尚道全羅道の境目に、双方からやってきて仲良く商売している市場があるよ、という歌。チョ・ヨンナム氏は途中で歌うのをやめたり、最後、思いっきり長く伸ばして、腕時計を見ながら歌い終える、というパフォーマンスをするのが定番の「お約束」スタイルのようです。

 

 この人の動画を見ると、他にも「통일바보」(統一バカ)という南北統一を願った歌もあります。「釜山で朝食、ソウルで昼食、平壌で冷麺 これが私の一日のスケジュール…」という歌詞。「和解」をテーマにした歌が目立ちますね。

 

 youtubeでこれらの歌を見つけ、独自のパフォーマンスが面白く、そういう人がいるのだな、と思っていた程度だったのですが、実はこの人、2005年に「殴り殺される覚悟で書いた親日宣言」という本を出版しているのです。その本の存在自体は知っていたのですが、この歌を歌っていた人物と著者が同一人物であるということは知りませんでした。

 

 ところがこの本を出した結果、仕事を干され、レギュラー番組を降ろされたことがあったそうです。この人は東西・南北・日韓と一貫して「和解」を求めているだけのように思えるのですが、韓国の現実はそれを許してくれないのでしょうか?

 

 ここまで書いて、最近読んだ韓国の新聞の日本語版で、この人の描いた絵をめぐるトラブルを知りました。多芸多才だけど一癖ある人物、という感じのようですね。

 

 それはともかく、いつの日か、この人に日韓和解の歌を歌って欲しいものです。昨今の情勢を鑑みると、かなり厳しそうですが。

 

 

www.youtube.com

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