写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

04  旅行と倫理

   コロナ禍以来、不要不急の旅行に行くな、ということで、旅行好きとしては肩身の狭い思いをしています。コロナ禍だけでなく、ここ数年、「オーバーツーリズム」観光公害が問題になっていました。こちらは中国人を中心とする旅行客の大幅増加で地元民が迷惑しているとか、観光地のキャパシティーを超えてしまう、という話だったのですが、私もあちこち行っている立場ですから、中国人来るな、とは言えませんでした。

 

 一方、環境保護の立場から、特に航空機を利用した旅行に対して「飛び恥」と言うことが言われるようになりました。鉄道の方が環境に優しいので鉄道旅行が推奨される、という動きがヨーロッパなどではあったようです。

 

 私は鉄道好きで、近頃、長距離列車が削減されていたことを寂しく思っていました。ですから、歓迎すべき動きだったのかも知れませんが、素直に歓迎できません。私は以前から環境保護運動に懐疑的だったのと、もうひとつ、本当に鉄道の方が環境に優しいのか、という疑問があるからです。

 

 私は理工系の知識に疎いのですが、例えば東京から札幌に行く場合、飛行機に1時間半ぐらい乗るのと、電車で1日費やす(今なら新函館乗り継ぎで7時間ぐらいでしょうか?)のと、どちらが一人あたりのエネルギー消費が少ないのでしょうか?素人にはわかりません。

 

 それより素人目に感じるのは、飛行機は空港があればいいのですが、鉄道は細長い構築物が延々と続きます。特に新幹線の場合、高架やトンネルを延々と連ねている場合が多いわけです。こちらの方が環境破壊になっているのではないかと思うし、将来、付け替えや廃線となった場合、これらの構築物は放棄されて朽ちるがまま、地球に人工的な傷を付けたままになってしまうのだろうか、と思ってしまいます。高速道路などはなおさらのことです。

 

 そう考えると、むしろ航空機の方が地球に優しいのでは、とさえ思ってしまうのです。

 

 話が違う方向に行きましたが、私が生まれてこの方、旅行に行くことが後ろめたい、という思いをしたのは初めてです。きっと戦時中以来のことなのだろうと思います。一方で「GO TO トラベルキャンペーン」も始まっていますが、東京には行くなとか言われるとどうも旅行に出る気がしません。

 

 旅行・観光関連業者は困っているのでお金を落とすことが正しいことなのか、それともコロナが収まるまで控えるべきことなのか、二律背反ですね。

 

 一体、旅行に出た方がいいのか悪いのか、コロナが収まっても環境問題は残るでしょうし、旅行に限りませんが、倫理感覚を揺さぶられることが多い昨今です。旅行に行くことに関して「倫理」なんてことを考えさせられるご時世になってしまいました。