写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

05  中国人観光客がいなくなって思うこと

 コロナ禍で外国人観光客が激減しています。私は3月まで、函館本線の通称「山線」をよく利用していたのですが、2010年代に入った頃からでしょうか、夏冬など、国際列車と化していました。札幌の町でも中国人観光客がウジャウジャいる状況になり、それどころか、私が先頃まで住んでいた田舎町にも、駅の待合室に外国人の姿が見られるようになり、駅前のそば屋にはメニューの裏に英文メニューがそえられるようになっていました。

 

 これが今年になって突然消えてしまったのですが、正直、「コロナウイルス」という自然現象でこういうことを一度経験しておいたのは、ある意味よかったのではないか、とも思うのです。

 

 というのは、コロナ禍以前から、韓国人の間で反日感情が高まり、日本旅行自粛ムードが生まれていました。韓国という国は日本より人口が少ないですし、また、自由主義国ですから、政治的理由で旅行自粛ムードが生まれても、一定数の人はそんなこととお構いなしに日本観光に来ることができます。

 

 ところが中国は人口が14億ですし、しかも政治的・社会的自由のない社会主義国です。中国が、何らかの理由で日本に圧力をかけたい場合、政府が日本旅行をストップさせる、というカードを切るかも知れません。そして旅行などというのは「不要不急」のものですから、人民の皆さんは一定期間旅行に行けなくても強い不満を持つことはないでしょう。「国策」に従うまでのことです。

 

 しかしこれが現実に起こると、日本の観光業界は干上がってしまい、ひいては経済全体に大きな影響を与えてしまいます。すると、中国に妥協せよ、という声と、中国に強硬姿勢を取れ、との双方の声が上がり、対中政策をめぐって国内世論が深刻な分裂を見せる可能性があります。

 

 今後中国経済はますます発展するでしょうから、それとともに日本への観光客が増え、それに日本経済が依存する、という状況が予想されます。

 

 政治的理由でなく、今回のコロナのように自然現象で観光客の流入がストップした場合であれば、強い反中感情はおこりません。もし中国からの観光客がこなくなると、こういうことになるのだ、ということを一度ここで経験しておいたのは、中国との関係を見つめ直すという意味で、日本の将来にとって決して悪いことではなかったと思います。

 

 中国人観光客が突然いなくなる可能性がある、そのときの対応をどうすればよいのか、今回のことを教訓にして対応を考えておく必要がありますね。

 

 もう既に干上がっているところはそれどころではないかも知れませんが、私は観光客の増減が仕事に直結する立場ではなく、一方で旅行好きとして、観光が元に戻って欲しい、という立場でもありますので、このように考えました。