写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

04 小幌駅探検記<その2>(2002年5月5日)

 18年前の「小幌駅探検記」の続きです。

 

 駅近くまで戻り、もう一本の道へ。ガイド本(「秘境駅に行こう」)には崖を降りて波打ち際に行くことができると書いてありましたが、見たところそんな道はないです。崖を無理して下れば行けなくもなさそうでしたが、やめておきます。しかし、崖に沿って細い道があり、これが下まで通じているのか、と思い、そちらを歩いていきます。10分ぐらい歩きましたが、なんだか上に登っていく感じですし、革靴にショルダーバッグ、という格好ですから、うっかり足を滑らせると危険です。

 

 ということで、ここは危なさそうだな、というあたりで止まってボヤーッとしていました。天気は快晴。薄紫の花も咲いていて、鳥の声と波の音。雑木に多少さえぎられますが、噴火湾を一望できる絶景です。仙人を除けば誰もおらず、誰が来る心配もありません。この世界を独り占めしたような気分になります。

 

 はじめこんな駅では時間をもてあますだろう、と思っていましたが、何時間でもいられそうです。ただ、虫が異常に飛び回っていて、蚊こそいないようでしたが、これにはやはり我慢できず、戻ってきました。

 

 2つの道が合流するあたりは保線員が休憩するのか、ポケットパーク的な広場、というほどでもないですが、平地があり、丸太を並べて座れるようになっているところが二ヶ所あります。一ヶ所は蟻がびっしりいて座れそうもないのでもう一方に座ります。ここからは視界が開けないながらも海が見え、ちょうど正面が駒ヶ岳です。

 

 ここでまたしばらくボヤーッとして、今度は空いている小屋へ。本によるとここは「待合室」とのことでしたが、おそらく物置でしょう。冬に仙人がここで火を焚くらしく、煤けています。

 

 中に駅ノートが何冊かあります。これも秘境駅の本で知ったのですが、この手の駅には記念用にノートが置いてあることが多いそうです。チラチラと見たあと、せっかくですから書き入れます。どうやらこの日、北大の鉄研の学生が新しいノートををおいていったらしく、前のノートがまだ途中なのに、新しいノートもおいてありました。どちらに書こうかと思いましたが、新しい方に一言書いておきました。2人目です。

 

 そうこうしているうちに、14:59。帰りの列車が来ました。何もない駅ですから、すぐ飽きると思って待ち時間が一番短くなるように予定を立てたのですが、海辺にもいけなかったし、ノートもチラチラとしか見ることができず、もっといたい気分でした。でもこの列車を逃すと4時間も待たなければいけないのでやむを得ず乗り込みます。

 

 長万部着15:19。駅で料金を払いましたが350円でした。駅を出てから久しぶりに旅行気分で「かにめし」を駅前の食堂で食べて帰りました。

 

 思いのほか面白い小旅行になりました。  

 

 <追記>小幌の仙人、その後亡くなったという噂を聞きました。