写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

14  「かねさ甘味噌」で味噌汁をつくる

 冬の夕食で、ホッケの干物を焼いて豚汁と野沢菜を添える、という組み合わせにすることがあります。うちはもともと西日本ですから、「豚汁」を「とんじる」と読んでいましたが、北海道に来て久しくなり、自分は「ぶたじる」とよぶようになりました。といっても一人暮らし。具だくさんではなく、シンプルに大根のいちょう切りに豚バラの細切れ、それにダシ用の煮干しを入れ、上からネギを散らすだけです。ホッケに大根おろしを添えるので、残った大根を切って味噌汁に投入します。もっともらしいことを書いていますが、何しろひとり者ですから、味噌汁をわざわざ作る機会はそんなに多くありません。

 

 味噌汁といえば「おふくろの味」の定番となっています。実際、うちの父親は「実家の味噌汁と味が違う」と母親に文句を言っていました。こう書いている私も、母親の作る味噌汁があまり好きではありませんでした。実家にいた頃、味噌汁を好んで飲んだ覚えがありません。好き嫌いのあまりない私ですが、飲むことは飲むけれども、別に欲しいと思わない、という存在でした。

 

 ところが、北海道で一人暮らしを始めたころ、「津軽三年 かねさの甘味噌」のテレビCMを見て、なんとなく買ったのです。この味噌を使って味噌汁を作ってみたのですが、これが非常においしいのです。早速気に入り、変えるのが嫌いな私ですから、以後この味噌ばかり買っています。

 

 このような経緯で、私にとっての「味噌汁」は、「おふくろの味」ではなく、「ひとり暮らしの味」なのです。もちろん、料理の腕の問題ではなく、単に味噌がよかった、というだけのことだと思います。かなり昔のことですが、帰省のときに持って帰り、「この味噌で味噌汁を作って欲しい」と言ったことがあります。

 

 この味噌、色は白く、「甘味噌」と名乗っているのですが、京味噌のような甘さではありません。東北の味噌らしく、塩気が濃いように思うのですが、この味が好きなのでしょう。「かねさ」という会社は、青森の会社です。私は青森にゆかりがあるわけではないので、地元びいきというわけでもありません。自分の舌に合ったのでしょう。昔はパッケージに「津軽三年」と書いてあったのですが、いつの間にかなくなりました。実際は三年もかけて作っていないので、外したのではないかと思います。

 

 以前は少量パックやカップ入りを買っていたのですが、最近は見かけなくなっています。都会に引っ越して、大型スーパーならあるかな、と思って探したのですが、ありませんでした。やむをえず大袋を買っていますが、毎日味噌汁を作って飲むような生活をしているわけでもなく、持て余し気味です。一人暮らしが増えている昨今ですから、少量パックをもっと売ればいいのに、と思うのですが、こういう昔ながらの味噌を使うのはいまだに大人数の家族が多いのかも知れませんね。