写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

15  経済が豊かになると男子がイケメンになる

 近頃、若い男の子に「きのこヘア」が目立ちます。前髪パッツンの髪型ですね。以前にもビートルズなどがしていたのですが、今回の流行は、「韓流」の影響だと聞いたことがあります。韓国アイドルの髪型なのだとか。

 

 我々中年世代からすれば、韓国は日本の後追いをしている国、であり、ファッションなどは日本の劣化コピーであると思っていました。80年代など、歌手やタレントでもアイドル顔の「イケメン」は少なく、「美女」はいましたが、88年の初訪韓のときなど、女性はびっくりするほどの厚化粧で、高度成長下、化粧品が思いっきり使えるようになって使いすぎてしまうのかな、と思っていました。

 

 2000年代になって訪韓を重ねましたが、歌手や俳優はかなり垢抜けてきたものの、町を歩く人々にはさほど「イケメン」も、個性的なファッションをしている人もいませんでした。日本では茶髪が普通の時代になっていましたが、韓国の若い男性は黒髪短髪。兵役がいまだにあるせいかな、と思っていました。

 

 タレントのIKKOが韓国コスメを推奨している、という話を聞いたりはしたものの、化粧品などに全く縁のない私は、韓国製品の品質が上がって割安で使い物になる化粧品が生まれてきたのかな、という程度の認識でした。

 

 その認識を改めたのは、2010年頃にYoutubeで何気なく見た、韓国のテレビCM動画でした。女の子のタレントが清涼飲料水のCMをしていたのですが、彼女も魅力的だったものの、それより彼女の後ろで踊っているダンサーが気になりました。

 

 後ろに小さく映っているだけなので、よく見えないのですが、そんなにイケメンではないように思えます。ですが雰囲気が「今どき男子」なのです。これまでの韓国男子に感じてきた野暮ったさがありません。

 

 2015年に訪韓したとき、街中にいる男子にadidasの三本線ジャージをはいている人が目立ちました。その後しばらくして、日本でもファッションとしてadidasジャージを履く人が目立つようになりました。ファッションに疎いので、この2つの現象に関連性があるのかわかりませんが、結果的に日本が韓国の後追いをしているように思えました。

 

 ネットニュースでも、2012年だったかに、韓国人の平均身長が日本人を抜いた、という話を読みました。もともと「朝鮮人」の方が平均身長が高かったらしいのですが、1937年だったかに日本人が抜き、その後長く栄養状態がよい日本人の方が平均身長が高かったそうなのです。北方系の韓国人は日本人より高身長の遺伝子を持っているのかな、と思っていましたが、台湾人にも抜かれたそうです。これはどうしたことか、と思います。 

 

 私もそうでしたが、以前は中高生の頃に、父親の身長を超す、というのが普通のことでした。ところが最近はあまりそういう話を聞きません。 

 

 昨年の訪韓では、若者が集まっているところに出没しなかったせいか、あまり韓国の若者の風俗を観察することはできず、これといった印象は残っていないのですが、身長は日本より高いな、という印象を持ちました。

 

 歌の世界でも、韓国の歌手PSYの「江南スタイル」という歌が、全米一位を獲得した、という話が聞こえてきました。2012年のことだったそうです。同じ頃、日本で話題になっていたのは、由紀さおりの歌が再評価され、全米のジャズチャートだかで一位になっていた、という話。韓国は「現在」日本は「過去」が評価されていたのです。

 

 そして今、防弾少年団(BTS)が全米一位になっているそうです。一方、日本関連では、松原みきの「真夜中のドア」が海外で評価され、80年代前後の「シティポップス」が人気を得ているとか。日本はやはり「現在」ではなく、「過去」が評価されているのです。そして現在の日本では、BTSなどの韓流アイドルの影響で「きのこヘア」がはやっているのでしょうか。

 

 私の持論に、「経済が豊かになると男子がイケメン化する」というのがあります。女性は貧しい国でもきれいな子はきれいなものですし、美容に気を使う人は使います。ところが男性はその余裕がありません。「ハンサム」はいると思いますが、顔立ちそのものは普通でも、おしゃれや美容に気をかけてかっこよく見える、という「イケメン」君があちこちにいる、という社会は、経済発展を遂げた社会に見られる現象です。韓国と 同じ民族である北朝鮮に「美女軍団」はいますが、「イケメン軍団」は聞いたことがありません。

 

 日本では石原裕次郎加山雄三までは、当時の感覚ではかっこよかったし、「素材」はいいのでしょうが、現在の視点で見ると野暮ったく見えます。1970年前後、沢田研二郷ひろみ西城秀樹などが出てきた頃から男性タレントの雰囲気がかわりました。以前1972年と73年の「新婚旅行案内」の冊子の表紙を見たことがあるのですが、72年版は男性はメガネに背広姿なのに、73年版は長髪にカジュアルなスタイルに代わっていました。男性ファッションの「現代化」は1970年前後に訪れたのではないでしょうか?

 

 韓国は24年遅れで日本を追いかけている、ということを何度か言ってきましたが、日本の24年後、ということになれば、1997年、この辺りから次第に韓国人もおしゃれに目覚め始めたのかも知れません。

 

 ソウルにはまだまだ「ダサい」男子も多いのだろうとは思います。私の若いときもそうでした。でも今は垢抜けている男子も多くなっているものと思います。韓国男子youtuber君達には、あか抜けている子が多いのです。

 

 最初の話に戻ると、韓国の風俗が日本に影響を与える時代に入った、若いおしゃれ志向の子たちにとって韓国は「憧れ」になりつつあり、日本が部分的ながら韓国風俗の後追いを始めるようになってしまった、ということを我々中年世代は認識しないといけません。

 

 次回は、風俗面だけではなく、歴史を見据えて、自分なりに日本とアジアとの関わりの変化について、考察を加えてみたいと思います。