写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

16  明治維新の有効期限が切れた時代に

 昨日は、ファッションなどの面で日本が韓国の後追いをするケースが見られるようになったのではないか、ということを書きました。

 

 このところ、韓国の平均賃金が日本を上回ったとか、韓国の一人あたりGDPが日本を上回ったとか、そういうニュースが聞こえてくることがあります。何年か前に、韓国人の平均身長が日本を上回った、という記事も読みました。ついに「日韓逆転」の時代に入ったのかも知れません。

 

 一方で韓国の合計特殊出生率が1を下回り、少子化にあえいでいる日本より低くなっている、というニュースも見かけます。さまざまな面で韓国が先を行くようになり、日本の近未来を韓国が示すようになっている、とさえいわれるようになりました。

 

 ITについても、韓国は「IT先進国」で、日本の先を行っているとよく言われます。日本がIT化以前に国家社会のシステムを完成させてそれに不便を感じない社会を造りあげていたため、それに日本人が不便を感じていないでいるうちに、後発国である韓国がIT化に対応した国家社会システムを作り上げてしまったのでしょう。

 

 私もハンコを使い、現金払いをしている日々ですが、日本の現金使用率が依然として高いのに対し、韓国は極めて低くなっているのだとか。

 

 私のライフスタイルも昔ながらのもので、新しいものには抵抗を示す方ですし、仕事の面でもうまくいかないことが多く、ストレスを感じてばかり。私が就職してからの30年間は日本経済の成長が止まり、韓国に追いつかれる30年間だったのですから、責任の一端は私とその世代にあるのでしょう。

 

 韓国は日本の24年遅れで後追いをしてきた国なのだ、ということを以前何度か書きましたが、もう30年日本が停滞しているうちに、ついに追いつかれ、部分的には追い抜かれてしまったわけです。

 

 30年ほど前までは、日本はアジア唯一の先進国で、東アジア唯一の民主国家でした。40年前に日本の周囲を見渡すと、社会主義国軍事独裁国家ばかりでした。今は依然として政治的自由のない国が目立つものの、北朝鮮以外はある程度発展した国ばかりです。

 

 日本がアジア唯一の先進国、民主主義国でいられたのは150年ほど前に明治維新を行い、75年前に敗戦による民主化を行ったからです。ですがそれはもう遠い昔。特に明治維新は150年の時を経て、その効力が失せてしまったのだろうと思います。

 

 敗戦による民主化でも明治維新そのものは否定できず、その後の帝国主義化、軍国主義化が否定されるのみでした。日本は敗戦の痛手から早くに立ち上がり、冷戦体制下で周辺国が停滞しているなかで高度経済成長を達成しました。

 

 しかし21世紀の現在、いつまでも明治維新と戦後の冷戦体制下で得られた立場にあぐらをかいているのは難しくなってきました。今までは黄色人種の中でも日本人は優遇され「名誉白人」的位置を占めていましたが、今後はそのような扱いをされることも少なくなってくるのではないか、と思います。

 

 差別そのものはいけないことですが、そのようなことをする人は一定数います。海外で日本人が差別的待遇を受け、不愉快な思いをすることはむしろこれから多くなってくるのではないかと危惧しています。

 

 散漫な論考になってしまいましたが、日本は欧米以外で飛び抜けた位置を占めることになるきっかけとなった、明治維新の有効期限が切れた時代にさしかかっているのだ、そうした視点でアジア、ひいては世界に目を向けていけなればいけないのだ、ということを指摘しておきたいと思います。