札幌の大通りには、「ポールタウン」と「オーロラタウン」という2つの地下街があります。初めて札幌に住んだとき、都会的できらびやかな地下街と、おしゃれな北国を連想させるネーミングが気に入ったものです。
「ポールタウン」は、地下鉄大通駅からすすきの駅まで、「オーロラタウン」はやはり大通駅からテレビ塔の入口まで伸びています。1971年、札幌オリンピックの直前、地下鉄開通の頃に誕生したようです。
札幌地下鉄で最初に開通した南北線の地下鉄車両(1000・2000系)は、こぢんまりとした緑色の窓が大きな車両で、おしゃれな電車だと思っていました。今のあまり個性がない車両を見るたび、またあの車両のデザインを受け継いだ車両を作ってくれないかな、と思ったりします。
札幌の地下街も地下鉄も、ちょっとよその町にはない小洒落た感じがありました。
ですが、私が札幌に来る前、「オーロラタウン」の真ん中には水路があり、古い写真を見るともっとおしゃれ感があったのだなあ、と思います。いま小広場になっているスペースには、噴水だか滝だかがあったそうです。私が札幌に来た1987年にはもう残っていませんでした。人通りが増えたのと維持管理にコストがかかるので1980年頃に撤去されたそうです。
そういえば、札幌駅前の「パセオ」にも改装前は「水の広場」という、滝や小川があるエリアがありましたがこれも撤去されました。「アピア」にも確かちょっとした水が流れる壁があった気がするのですが、これもなくなったようです。
札幌に限りませんが、建物の中や地下街に水路や噴水・あるいは滝を作ったケースがあり、都会のオアシス的な空間となり、きれいなライトに照らされてファンタジックな光景を作りだしていました。ですが案外維持管理が難しいのでしょう。いつまでもずっと残っているケースは少ないように思います。
大阪の阪急三番街や梅田地下街にも、昔は川の他に滝や噴水があったように記憶していますが、今は縮小されたり、撤去されたりしているようです。
一昨年、韓国大邱の地下街に行ったとき、噴水が残っていて、ちょっと一昔前の地下街のようだな、と思いました。地下街に噴水や水路、滝があるのは町のアクセントとして大変面白く、特に子供や旅人が、思いがけず出くわすと、ともすれば幻想的とさえいえる印象を残します。
地下街ができたときには張り切ってこの手の施設をつくるのでしょうが、維持管理の困難さのほか、非常時の防災面からも問題があるという指摘も見かけました。ですが、何とかして残してもらいたいな、できれば再度設置してもらいたいな、と思うのは私だけでしょうか?