写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

15  2022年韓国大統領選挙

 先日、韓国の大統領選挙がありました。こんどは保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏という人物が僅差で当選しましたね。文在寅氏から政権交代をするわけです。

 

 以前は韓国政治に強い関心がありましたが、今回は正直なところ、あまり強い関心は持てませんでした。今回の大統領選挙はコロナとウクライナ情勢のせいであまり大きく報道されなかったような感がありますし、韓国内での激しい対立の割には、さほど大きなイデオロギー・政策面の違いもなかなか見いだしにくいように思います。どちらかと言えば韓国内政面の問題が争点の中心で、対日関係でも保守系がやや穏健だ、という程度の違いしかなく、日本人としては、どちらが勝ってもあまり大きな変化は期待できない、というところなのではないかと思います。

 

 軍事政権の全斗煥氏から、全氏の後継者的存在だった軍人出身者だったものの、民主的に選出された盧泰愚氏、盧泰愚政権を引き継いだ形ではあったが文民大統領として軍事色からの脱却を果たした金泳三氏、4度目の挑戦で進歩系への政権交代を果たした金大中氏、「一盧三金」時代からの世代交代を果たした盧武鉉氏、とここまではそれぞれ新しい大統領が登場するたびに新しい歴史のページが開かれた思いがしたものです。

 

 その後の李明博氏は再度の保守系への政権交代朴槿恵氏は初の女性大統領、文在寅氏は任期途中で朴氏を降ろして再度の進歩系への政権交代を果たした、とそれなりに意義づけをすることはできますが、以前に比べると歴史的な大きな動き、とは言いがたいでしょう。

 

 今度の政権交代も、進歩系から保守系への政権交代は2度目ですし、目新しさはありません。むしろ韓国民主政治が定着して、振幅が小さくなり、二大政党制的(といっても韓国の政党は名前がコロコロ変わるのですが)体制が確立した、と見るべきなのでしょう。

 

 もっとも、外から見ると振幅は小さいように見えるものの、国内では以前から指摘されている慶尚道全羅道地域感情に加え、高齢者と壮年者の年齢による分断、さらに20代においては性別による分断この選挙結果に表れている、という分析記事がありました。特に韓国における若い世代の性別による分断傾向は日本では見られないもので、韓国におけるフェミニズム運動の高揚と男性の兵役制度があることによるミゾジニーの感情による分裂らしいのですが、興味深いところです。機会があれば、これをもう少し掘り下げることができれば、と思います。