春ですね。とは言っても、北海道では桜は咲いていません。この時期精神状態が悪くなるのは年度替わりもありますが、本州の方では花便りが聞こえてくるのに、こちらでは雪がようやく融けた、という段階で、その差にイライラしているという部分もあると思います。もともと本州の人間なので、北海道に住んで30年以上になりますが、この季節はいまだにどうもなじめません。5月6月になると追いついてきて、その時期はむしろ本州より過ごしやすいことも多いのですが。
ということであまりメンタルがよくないのですが、気晴らしにお菓子の話を。桜餅です。これも昔は春にだけ売っていましたが、今は年中売っていて季節感がありません。ですが私は和菓子が好きなので、桜餅をよく買います。
あちこちで言及されていますが、桜餅はクレープ風の生地に餡を包んだ「長命寺」と言われるものと、つぶつぶの道明寺粉で餡を包んだ「道明寺」というものがあります。「長命寺」が関東風、「道明寺」が関西風とのことのことで、前者は東日本、後者は西日本に分布しているとされます。「長命寺」は江戸の長命寺の門前で売っていたことから、「道明寺桜餅」と区別するため用いられるようになった名称のようです。
私の体験としては、子供の頃、金沢でのかすかな思い出に、「長命寺」風の桜餅を売っていた記憶がありますが、その後西日本に移り、桜餅と言えば「道明寺」がおなじみになっていました。
その後北海道に来たのですが、なぜか北海道は「道明寺」が優勢なのですね。「長命寺」を見かけることがありません。日本海の北前船なんかの影響なのかな、と思ったことがありましたが、確証がありません。そんなことを考えるきっかけになったのは、以前、春先に檜山地方、北前船ゆかりの江差に出張したとき、丘の下の和菓子屋が「道明寺」、丘の上の和菓子屋が「長命寺」を売っていたからです。
北海道で「長命寺」に出合ったのは、この江差の和菓子屋と札幌のデパートだけです。後者はおそらく東京の和菓子屋の出店でしょう。
なぜ東日本の北海道が西日本系の「道明寺」優勢なのか、本当に日本海交流圏の影響なのか、よくわかりませんが、もともと西日本の人間で「道明寺」になじみがあり、また食べごたえがあるのも「道明寺」ですから、私は「道明寺派」です。
どうもあれこれ調べて見ると、単純に「東日本=長命寺」、「西日本=道明寺」とも言えないそうで、東日本でも道明寺の地域や、西日本でも長命寺がおなじみ、という地域もあるそうです。なかなか興味深いですね。
いつもは道明寺ばかりの私ですが、たまには長命寺も食べたいな、札幌のデパートで買って食べ比べてみたいな、と思ったりもします。
もうひとつ、私は桜の葉を食べる派です。私は意地汚いので、刺身の大根のつまとか、洋食のパセリも食べる派なので、桜餅についている桜の葉は当然食べます。あの塩気が桜餅本体の甘みと好対照をなして、おいしさを増していると思います。
皆さんは「長命寺」と「道明寺」、桜の葉を「食べる」「食べない」派のどちらでしょうか?