写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

03  ゴルバチョフ氏死去

   旧ソ連の元大統領だったゴルバチョフ氏が亡くなりましたね

 

 私は1992年3月にヨーロッパを旅行したとき、ドイツのノイシュバイシュタイン城を見に行ったら、偶然ゴルバチョフ氏が来訪しているところに出くわしました。ソ連崩壊・大統領退任直後でした。

 

 確か、夫妻で馬車に乗って坂を上り、入り口に乗り着けていましたが、私も興奮して写真を撮ったのに、ブレブレでまともに写っていませんでした。それ以来、写真に自信をなくしてしまい、全然とらなくなってしまいました。

 

 この旅行はシベリア鉄道に乗っていったので、ソ連崩壊直後のロシアの様子をずいぶん見聞しましたから、そのソ連崩壊の中心人物と旅行の最後に邂逅できたことで感慨ひとしおでした。

 

 帰りは城からの坂道を下ったところにある広場からヘリコプターに乗って飛び立っていきましたが、そのとき後を追いかけようとして転んでしまった覚えがあります。

 

   ということで、私が生で見た唯一の外国国家元首クラスの人物です。

 

   個人的な思い出もありますが、やはりペレストロイカと冷戦終結に果たした役割は非常に大きなものがあります。冷戦終結の時は、世界の歴史って動くものなのだな、と思わされました。

 

 世界を平和に導いたという面では偉大な人物だったと思いますが、私が訪れたソ連崩壊直後のロシアでは極端なインフレで、3000円を両替したら札束になって帰ってきたし、ルーブルではまともな買い物が出来ず、切手や地下鉄ぐらいにしか使えませんでした。みんなドル払い。ロシアの人にとってはソ連、そしてその経済を破綻させた人物と映るのかもしれませんね。

 

 3年前にロシアを再訪して、看板が増えて明るく垢抜けた感じになったし、自由化したのかな、と思っていました。一方で飛行機も昔のソ連製ではなくエアバスになっていたし、乗り物は古いトラムやトロリーバスソ連時代のもののようでしたが、新しいバスは中国製のようでした。自分でものを作る工業力がなくなってしまったのかな、とも感じました。

 

 あのとき行ったロシアはゴルバチョフ氏の力もあって自由化したのかな、と思っていたのですが、最近のプーチン政権の振る舞いを見ると、そうではなかったようですね。そして今、プーチン政権はウクライナ戦争をやっていますが、ゴルバチョフ氏はこれをどう思っていたのでしょうかね?

 

 ゴルバチョフ氏はおそらくソ連体制の枠内での改革を志向していたのでしょうが、歴史はそれより大きく動いて手に負えなくなってしまったようでした。 活躍したのはもう30年以上前ですが、世界的な評価の高さとロシアでの評価の低さに大きな落差のある人物であると言われます。

 

 ロシアの権威主義化が進んでいる中で、この人の時代からもう一つ、次の曲がり角を迎えている感がするご時世ですが、この人の行ったことが歴史にどう位置づけられていくのか、後世に大きく残る「功績」だったのか、それともロシア史の中では一時の「反動」だったのか、個人的には前者であることを願いますが、どちらに転ぶのでしょうかね?