写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

09  ベトナム経済

 ここ数ヶ月、断続的にベトナム旅行記を掲載していたわけですが、ベトナム経済ってどうなんだろう、と思ったりします。

 

 まあ、ベトナム経済なんてドイモイ」政策を知っていればいい方で、それ以上のことは知らない人がほとんどでしょう。日本語に訳すと「刷新」というそうですが、社会主義体制を維持しつつ、中国と同様の市場経済化を進めている、ということでいいのでしょうかね?

 

 ベトナム経済について詳しい本を読んだことはありませんでしたし、旅行でも表面的なことを瞥見してきただけです。ということで、それ以上のことは知りませんから、この際、ネットで調べてみました。2016年の資料が出てきましたが、国有企業はわずか600社、企業数のたった1%だそうです。みんな株式会社化されたり、外資に売却されたそうです。これは実際に見てきた私のイメージに一致します。

 

 ベトナム経済史なども詳しくは知らず、ネットをチラチラ見ただけですが、どうも、南北統一後の性急な計画経済、社会主義化がうまくいかず、1980年代はじめにはすでに旧ソ連型の計画経済が破綻していたようです。それでハイパーインフレになり、農業はすでに1981年の段階で請負制になり、1986年にはドイモイ政策が始まり、それから市場経済化や外資導入が始まったとのことです。それでも当初は国有企業の民営化には慎重だったそうなのですが、現在ではもはや国有企業は基幹産業などの大企業に限られているとのことです。ですから鉄道は国鉄ですが、電力は85%が国有企業、とのこと。ということは15%は民営なのでしょう。

 

 社会主義国は冷戦後、①旧ソ連・東欧型の社会主義国家自体が崩壊したもの、②中国・ベトナムのように社会主義国家自体は存続しているものの、経済は市場経済し、資本主義国家と少なくとも表面的には変わらなくなっているもの、③北朝鮮のように社会主義体制を固守しているもの、に3分類できます。そして成功したと言えるのは②の類型です。

 

 ベトナムを旅行して瞥見しただけでは、もはや表面的にはタイと変わりないわけです。タイは政治的には王制で、ちょっと日本の戦前のようなところが残っている感じがするのに対し、ベトナムはこれまた共産国の名残り的なところがあるな、というのと、タイよりちょっと遅れているな、と感じるだけです。

 

 具体的な遅れというのは、都市鉄道の未整備、コンビニがタイほど見られない、車よりバイクが多い、というあたりです。共産国の名残りというのは、ソビエトマークのついた赤旗が街に目立つとか、兵隊か警察の制服に赤い肩章がついているとか、そういうところですね。

 

 旅行でホテルに泊まったわけですが、昔経験した旧ソ連崩壊直後のロシア旅行では、国営の「インツーリストホテル」があり、前回のロシア旅行でも30年ぶりにここに泊まりました。国営の大規模で無機質なホテルに泊まらざるを得ない、というのが社会主義国のホテルのイメージですが、今のベトナムはタイと同じで、外資系から小規模な民営ホテルまで、雑多なホテルがあり、価格も設備もまちまちです。

 

 話は変わりますが、このたび、日銀の「異次元金融緩和」が一区切りついて、「普通の金融政策」に戻るという報道がなされました。この間にETFという株式の投資信託を買い入れていたので、今や日本企業の一番の大株主は実質的に日本銀行になっている、とのことでした。これもマイナス金利などと同様、金融政策の「禁じ手」の一つだったのですが、黒田日銀はこれをやっていたのですね。

 

 この国家機関が一番の大株主、という日本の現状はある意味社会主義です。ベトナムの金融政策など全く知りしませんが、こんなことはしていないでしょうから、ベトナムより日本の方がある意味社会主義的なのかもしれません。モデルとしての資本主義経済・社会主義経済というのはありますが、どっちが資本主義でどっちが社会主義なのか、考えるとよくわからなくなっているところもありますね。