韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布して失敗し、内乱容疑でついに逮捕されてしまいましたね。歴代の韓国大統領はほとんどが退任後穏やかに過ごすことができない、ということになっていますが、現職で逮捕されたのは初めてです。
尹大統領が非常戒厳を宣布してすぐ、野党やその支持者が団結して国会を開き、非常戒厳解除の要求を議決し、尹大統領は非常戒厳の解除に追い込まれた、というところまでは、驚きはしたものの、まあこういうことをすれば、そうなるだろうな、という点では、当然だろう、と思ったわけです。
ただ、尹大統領が非常戒厳を宣布した背景には、野党「共に民主党」による、行き過ぎとも言える弾劾決議の乱発があったということで、それに業を煮やした尹大統領がキレてしまい、非常戒厳を宣布してしまった、ということのようでした。
一方、勢いづいた野党側は、大統領が職務停止になった後、職務代行者になった韓悳洙首相まで弾劾してしまい、副首相が「代行の代行」になってしまいました。さらに副首相も弾劾されるのでは、といわれていたのですが、チェジュ航空機事故もあって、それは沙汰止みになったようです。
ここからが今までの韓国政治の展開とは異なるところで、このあたりから与党「国民の力」の支持率が爆上がりしたということでした。また、尹大統領支持派の運動が起こり、尹大統領拘束前は大統領を守ろうとする保守派の市民が集結した、ということです。
韓国の市民運動やデモは、これまで「進歩派」のものが活発で、「保守派」の運動はそれに比べると活発ではない、という印象だったのですが、ここに来て、野党の行き過ぎにさすがにキレたようで、堰を切ったように活発化してきました。というより、一部は過激化しているようですね。
また、保守派は、前回総選挙が不正選挙であったとか、陰謀論があるとか言うことも主張しているようです。
ここに来て、おや、と思うわけです。これはどこかで見た光景だぞ、つまり、アメリカでのトランプ現象や、日本の斎藤兵庫県知事を巡る動きと似た展開を見せ始めているわけです。
問題を起こした為政者が一時窮地に追い込まれるが、そのあとなぜか支持が爆上がりしたり、その背景に「陰謀論」や「不正選挙」が語られたりする、というファクターがすべてがこの三つのケースで共通しているわけではないものの、部分的には通底しているものがあるのではないか、と思わせられます。私はトランプ氏や斎藤氏と違って尹大統領にはやや同情的ですが、支持者の動きには似た傾向があるように思います。
「リベラル」への保守派の反発、というか、あるいは左翼的な既成マスコミへの反発なのか、私が指摘してきた「保守」の「右翼革新化」なのか、トランプ現象や斎藤現象とは違った性質のものなのか、もう少し観察する必要はあると思います。
しかし、リベラルの運動が活発でこれまで保守の動きが見えにくかった韓国でも、この事件をきっかけに保守の運動が活発化してリベラル派に対抗し、「右翼革新化」するのか、興味深いところです。
こうした動きは、よくウオッチしていないので断片的にしかわからないのですが、ヨーロッパでも多少見られるようです。
一方、これまで韓国と相似形のような進歩発展の動きを見せてきた台湾、こちらは中国の圧力が強くなっている、という韓国とは違った条件が大きなファクターとなっているものの、それでも韓国と似たような動きが今後現れてくるのか、注目されるところではあります。
世界のあちこちで政治がカオス化している昨今ですが、韓国の動きがその流れに同調していくのか、違った展開を見せていくのか、ウオッチしていこうと思っています。