昨日の記事で、共産党の動画が妙にyoutubeのおすすめ画面に表示されるようになった、という話を書きました。公式ないし候補者自身のアカウントが多いようです。
これらの動画の多くは、共産党がいかにソフトであるかということを強調する内容になっています。そしてそれに付いてくるコメントは肯定的なものばかりです。普段のニュースや動画コメントにはあまり見られないコメントですが、共産党支持者というか信者というのもネット界隈にもそこそこいるものだのだなあ、と思わせられます。
さて、共産党系の動画は、先に述べたように、共産党がいかにソフトか、という内容のものが多いのですが、具体的には「大企業を必ずしも敵視しているわけではない」とか、「共産党の国会における法案賛成率は案外高い」といったものです。
共産党って、体制内政党なのか、という疑念があり、それを打ち消すために「共産党は怖くない」「体制内政党である」ということをアピールしたいのだと思うのですが、これは共産党の穏健化、もっというと「馴化」であると思われます。
歴史を見ると、鎌倉仏教の浄土真宗や日蓮宗は中世にはかなり過激なイメージを持たれていたと思われるのですが、江戸時代に「馴化」して、今は怖いと思う人はほとんどいないでしょう。新興宗教の創価学会等も近頃は「馴化」して、以前ほどの攻撃性は見られません。私はマルクス主義も一種の宗教的側面を持つと考える立場なのですが、共産党も100年たって日本社会に「馴化」してきたのでしょう。
今の共産党は社会主義化や天皇制廃止を正面切って打ち出してはいません。これらの主張を実現するには改憲が不可避ですが、今の共産党は「護憲」を主張してもそういう視点からの「改憲」は正面立って主張しないわけです。
また、減税論なども以前ならば代替財源など示さなかったのですが、一応「内部留保」を吐き出させる、といった財源案を示してはいます。
しかし、このような共産党の穏健化に対して、それに飽き足らない人たちが「れいわ新選組」の支持に走っていると思われます。組織面では共産党は依然として硬直したものを維持していると思いますが、極端な減税と積極財政の主張など、政策の主張の面ではむしろ「れいわ新選組」の方が過激であるように思います。共産党も類似の主張をしてはいるのですが、もっとマイルドな主張に感じます。法案賛成率も共産党よりれいわの方が低いようです。
共産党のマイルド化、穏健化は一方でそれに飽き足らない人々と新興政党を生み出す、という面でジレンマに陥っているのではないか、というのが私の見立てです。