さて、江差山車会館を出て、横断歩道を渡り、少し坂を上って今日の宿、「辻旅館」にたどり着きます。入り口で呼び鈴を押してもなかなか出てきませんでしたので、中に入って扉を開け、厨房に声をかけます。
案内された部屋は意外にも洋室の一人部屋でした。一応小型のクーラーがついています。正直昨日の民宿よりもいいですね。やはり旅館です。
ただ、予約の際、「うちは観光料理をやっていない、カツぐらいしか出せない」と言われて、夕食抜きにして予約したのです。そこで宿の人にお勧めの店を聞きます。でも出発するとき、食堂を覗くと、焼き魚があるような、こんなのでいいのに、と思ってしまいます。
18時前に宿を出て、坂を上って街をウロウロします。夏場なので、店先で焼き物を焼いて食べている家族連れがいました。迷ったのですが、結局宿の人に勧められた「鮨紋」という寿司屋に入りました。入るとひとりだけ。
お通しにおそらくマグロの煮物。そして特上生寿司3000円、日本酒一杯800円、でした。
店主は宿の人の話や、自分でも昭和29年に新宿で働いて33年に札幌に来た、といっていましたから、80歳を超えているのでしょう。連日宴会が入っているが、今日は客が少ない、どうしたのだろうと思っていた、といいます。津波のせいか、今日は市場も休みだった、といいます。
老夫婦でやっていますが、連日宴会が入っていたのでは大変でしょう。田舎町はこういう高齢者で支えられているのでしょうが、10年は持たないでしょうから、閉店したらどうなるのか、と思います。
それでも日本酒はおいしく、機嫌がよくなり、店主が話しかけるので口も軽くなります。
「特上生寿司」は10貫でした。一応全部ネタを聞いたのですが、酔っていたし記録しそびれました。
それでも覚えてるものを書くと、大トロ、これは100キロもののマグロから取ったといっていました。あとは、ウニ、イクラにヒラメにホッキにホタテ、さらに天然物だというアワビに青柳などでした。これで3000円ならOKです。満足して「おいしかった」といって帰ります。お通し代はなく3800円でした。そこまで贅沢するつもりはなかったのですが、これレベルのネタでこの値段ならお得かな、と思いました。
帰りに街を歩くと山車会館にあった山車が練り歩くのであろう、夏祭りの練習の笛太鼓の音が聞こえてきました。私はお祭りに参加を強要されたりしたら嫌ですが、こうして見知らぬ街で夏の夕暮れに笛や太鼓の音が聞こえてくるのは風情があっていいなあ、と思います。
坂道を降りようとすると、、ちょうど夕日が日本海に沈むところでした。江差には鴎島という陸繋島があり、それが見えます。立ち止まって日が沈むまで眺めます。満足して宿に帰ります。
浴場も一人でした。他の部屋も空いているようで、他に宿泊客がいるのかしら、と思います。宿の部屋は冷房があり、昨日の民宿より居心地はいいのですが、なぜか夜眠れませんでした。どうして眠れなかったのか不思議です。