写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

19  特急「白鳥」乗車指南<その3>

 死んだ子の年を数えるようなことをしていますが、廃止になって久しい大阪「白鳥」乗車指南。3回目です。

 

 帰り、というか、下りの「白鳥」は、朝10時ごろ大阪駅を出発します。確か一番端っこの北陸線特急用ホームから出発していました。これまた上りと同じく、先頭車両の自由席、進行方向右側です。琵琶湖と笹川流れを見るためです。

 

 敦賀までキオスク系と思われる業者が変哲のない幕の内を売りに来るのですが、これは買わず、大阪駅八角弁当」を買うか、北陸線内で「かにめし」か「ますのすし、あと、当時加賀温泉の駅弁で「押し寿司日本海というのがあり、これも気にいって何度か購入した覚えがあります。

 

 「白鳥」末期に、金沢をすぎてすぐの「津幡」という小駅にも停車していた時期がありました。乗降客も見当たらず、廃止直前にはまた通過するようになった記憶がありますが、なんだか「白鳥」も落ちぶれたなあ、という印象を持ちました。 

 

 はじめて「白鳥」に乗ったのは、まだ山口に住んでいた高校生の頃で、どうしても「白鳥」に乗りたくて金沢から糸魚川まで乗ったのですが、このころは津幡どころか、市である魚津なども通過し、富山から糸魚川まで約1時間無停車、さすが「白鳥」だと思ったものですが、その後、だんだん停車駅が増えていきました。

 

 行きと同じく16時頃到着の新潟で方向転換し、白新線経由、羽越本線へ。笹川流れのあたりで夕暮れ、夕陽が落ちるのを眺めているのはいいのですが、その後は真っ暗。

 

 ここで注意しなければいけないのは、このあたりで酒田か鶴岡の業者が駅弁を売りに来るのですが、これを必ず買っておくことです。というのは、これが駅弁の最終車内販売だからです。最初に乗り通したとき、これを知らず、買わずにやり過ごし、秋田の業者が乗ってくるだろう、と思ったらやってこず、青森までひもじい思いをしたのを思い出します。それ以来、このあたりで必ず駅弁を買うようにしていました。

 

 駅弁を食べ損なったときはもちろんですが、駅弁をゲットしたときでも、このあたりでわびしくなります。客はどんどん減っていき、端っこの自由席は数人になります。夜20時頃の秋田で多少客が乗ってくることもありましたが、数人。私が乗っていたころにはすでに食堂車の連結もなく、気分転換もできません。

 

 早く青森に着かないかなあ、という思いばかりで乗車していました。23時少し前にようやく青森に着くと、ホームに弁当売りがいて、駅弁を買います。食べ損なっているときにはこれが頼みの綱でした。

 

 そしてはまなすに乗り継ぎますが、この6時間がまた苦行でした。北海道に行く人ならワクワク感があったでしょうが、こちらは北海道に帰るわけですから、暗い車中でまた現実に戻るのかあ、と思いつつ過ごしたものでした。

 

 一時はこの「白鳥」→「はまなす」ルートが本当に嫌になり、何とかして違う列車に乗ろうと画策していたこともあったのですが、今となってはこの両列車に乗ることはもちろん、在来線特急・急行でこのルートをたどることすらできなくなりました。象潟も笹川流れも琵琶湖も長い間お目にかかっていません。もう腰も痛いし、いまさら鈍行でこのルートをたどるのもどうかなあ、と思います。でもまたいつか、なんとかして、たどってみたいものです。