写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

20 4日目夕方 バンコク・トンブリー駅からバイクタクシーに乗る羽目に…(2020年1月10日)

 さてバンコクトンブリー駅に着きました。これから帰らなければいけません。でもどうするか。最近開通した地下鉄の駅がこのあたりを通っているようです。ですが地図では判然としません。どうもこのトンブリー駅、中心部から川を渡ったところにあるのですが、どうも地図によって駅の位置が微妙に違います。ですから本当に地下鉄がこの駅の近くを通っているのかわかりません。とりあえず周辺を少し歩いてみて、地下鉄駅らしきものがないようであれば、あきらめてタクシーにまた乗ることにします。またぼったくられるでしょうが。
 
 周辺を一回りしましたが、地下鉄駅らしきものは見当たらず。あとでネットの地図を見ると、どうやら終点のトンブリー駅の1つ手前の駅が地下鉄至近のようでした。

 

 とにかく、地下鉄駅が見当たらない以上、タクシー帰りです。ところが、めぼしいタクシーは欧米人客を乗せるといなくなります。そのあと脇に止まっていたタクシーに「ファランポーンステーション」といったら、乗車拒否されます。タイのタクシーはボッタクリの他、乗車拒否も多いそうです。

 

 困っていたら、例のトゥクトゥクという三輪簡易タクシーの老運転手が乗らないかというそぶりです。ですが、「スリーハンドレッド」といいます。あまりにボッタクリなので、「ハァ」というと、英語を解しないのかと思ったのか、私の手のひらにボールペンで「300」と書きます。これはダメです。せめて100バーツと思い、「ワンハンドレッド」といいますが、値を下げようとしません。あきらめようか、と思ったところで、手招きする別の人がいます。100バーツで乗せてくれるのか、と思い、道路を渡ってそちらへ行きます。

 ところがそれは何と「バイクタクシー」だったのです。車がないのでおや、と思ったら、バイクを示します。このバイクタクシ-、バイクの後部座席に客を乗せるという代物です。私はバイクの免許を持っていませんし、バイクに乗せてくれるような人もいませんから、生まれてこのかた、バイクに乗ったことがありません。躊躇していると、「セーフティー」などといいます。

 

 この際の成り行きなので、もう思い切って乗ることにします。頭にヘルメットを載せられますが、ひもの締め方がわかりません。止めてもらいます。で、いよいよ出発。運転手は手招きした人とは別の人。橋を渡り、大通りを高速で突っ走ります。カーブを曲がるときは少し傾きます。もう恐怖

 

 ただ、夕方のバンコクなので、渋滞しているところがあるのですが、バイクですから、車をすり抜けていきます。信号で止まっているとき、それまでは運転手のオレンジのゼッケンの脇を握っていたのですが、肩のところを持つように手で指示されます。肩のところのゼッケンを握り直します。

 

 肩掛けバッグの中にはパスポートやお金が入っていますから、これが飛ばされては一巻の終わりです。こちらも強く強く握りしめます。私はボヤーッとしているのでよくバッグのファスナーを開けっぱなしにしていることがあるのですが、これも停まっているときに確認します。閉まっていました。でもいつ走り出すかわからずおっかなびっくりです。

 橋を渡って王宮やワットプラケオの脇を通るとき、ふと、あのハチャメチャタイ映画ハヌマーンと5人の仮面ライダーを思い出してしまいました。日本の仮面ライダーの映画に勝手にタイでロケしたシーンをつないで作ったという、以前紹介したあの映画です。

 

 仮面ライダーが橋を渡り、タイ式の建物の脇を手を振りながらバイクに乗って行進するオープニングシーンから始まりますが、もしかしてこの辺?と思ってしまいます。まさか私本人がバンコクの町で後部座席とは言え、バイクに乗る羽目になるとは思ってもみませんでした。そう考えると愉快だと思うようになります。

 それと、車の渋滞をすり抜けて突っ走りますから、意外と速いのです。行きのタクシーが20~30分かかりましたので、それぐらいの時間を見込んでいたのですが、何とファランポーンの中央駅に10分でついてしまいました。これはずいぶん時間の節約になります。緊張したせいか一時的に足腰の痛みも忘れてしまいそうでした。

 

 降りてヘルメットを脱がせてもらいます。普通のタクシーでもメーターで行くと100バーツしないのですから、バイクタクシーで100バーツはボッタクリでしょうが、思いがけず早く帰ることができたし、何より珍体験で、むしろチップを払ってもいいかな、という気持ちにさえなりました。結局払いませんでしたが。

 考えてみれば、私の人生一回だけ「ディスコ」に行ったのは初の海外旅行のソウルでした。バイクに初めて乗ったのはバンコクということになります。成り行きでやむを得ないとはいえ、トラック改造の簡易バスに続き、妙な乗り物に乗ることになってしまいました。これも乗っているときは恐怖ですが、済んでしまえばいい思い出です。