写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

17 徳寿宮の謎の男とビビンバを食べる(2000年1月11日)

 安国駅から地下鉄3号線に乗ります。このエリアは以前行ったときからおなじみなので、迷いません。乙支路3街というところで2号線に乗り換えます。

 

 ところが通路を行くと、反対方面乗り場です。向かいのホームにどうしていくのかわかりません。仕方ないのでもう一度3号線ホームに戻ってよく確かめると、ホームの奥の方から別の通路が延びていて、そちらから行くことになっているようです。これでは韓国人でも初めての人はわからないでしょう。どっちみち2号線は環状線なのでいいと言えばいいのですが、所要時間が違いすぎますからね。

 

 市庁駅で下車。徳寿宮は朝鮮式の建物の他に西洋式の建物もある王宮です。西洋式の建物は美術館や博物館になっていました。普段美術作品には興味がありませんが、作品の中に昔のソウルの街を描いたものも多く、これは興味深かったです。次に博物館に行くと、昔の王の胎盤を入れた容器の特別展示をしていました。そんなものどうでもいいのですが、入り口で日本語の解説が聞けるヘッドホン(展示物の前の床に貼ってあるマークの前に止まると解説が聞こえる)を勧められてつけ、いちいち律儀に聞いていたので、かなり時間を食ってしまいました。

 

 そのあと、朝鮮式の宮殿を見ていると、若い男が「日本語を勉強したいので相手してくれませんか?」といいます。何で有料の宮殿で待ちかまえているのかいぶかしく思いましたが、こちらも韓国語の練習にいいかと思い、珍しくOKしました。ところが彼は持っていた日本語の本を見ずにハングルで書かれたメモばかり見て話をします。「どこへ行くのか?」というので「ビビンバ食べたい」といい、ガイドブックを見せました。

 

 この店は、中央会館といって、明洞という繁華街にあります。そこでお昼を食べるつもりでした。某有名大の学生というので、こちらも自己紹介しながら行きます。ところが彼はまっとうな話もしますが、スケベなこともいうので、何だこいつは・・・という気がしてきました。彼の日本語力は低く、お互い下手な日英韓チャンポンで話すので、彼は今韓国語を言ったのか英語でしゃべったのかわからなくなります。

 

 しかも彼は方向音痴なのか、違う方向にばかり行き、店の位置がわからないらしく、なんだか当てになりません。仕方ないので私が「こっちじゃないですか?」と主導権を奪うと、すぐ見つかりました。石焼きビビンバを食べましたが、この店は目立たない薄汚い店でしたが、日本人だらけで彼は「日本人だらけだ」と驚いていました。ビビンバは死ぬほど・・・というほどでもありませんが、まあまあ美味。ビビンバもさることながら、付け合わせのキムチや小皿料理の方が大変おいしいという印象でした。しかし彼が残したので興ざめです。代金は割り勘にしました。韓国では普通そうしませんが。

 

 次にソウルタワーに行こうと思ったら、彼は「ついていっていいですか?」といいます。

 

 せっかくなので、「いい」というと、「友達に電話かけてくるから1分待って」といいます。ところが1分どころか、10分・20分・・・と待っても戻ってきません。30分たってこちらもしびれを切らし、見捨てて行くことにしました。

 

 そうは言っても気になるので、近くの新世界デパートに行ってまた戻ってみましたが、いないのであきらめ、ソウルタワーに向かいました。

 

 あの男は何者だったのでしょう?割り切れないものを残したままでしたが、こう思うことにしました。おそらく彼はポン引きか何かの見習いで、私を風俗系のところに連れていこうとしたが、うまくいかず、電話で相談にいったところ、「あきらめた方がいい」といわれて消えた・・・のではないか?真相は分かりません。はじめ私は胡散臭さを感じつつも学生と信じていたのですから。まあでもビビンバ屋を出たところで別れるか、一度戻ってきてさよならをするかしてくれたら時間も無駄にせず、後味の悪い思いもしなかったのに・・・・という感じでした。

 

 <追記>宮殿名が「昌徳宮」ではなく、「徳寿宮」でしたので題名変更しました。

     (2020年5月13日)