写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

14  全州でビビンバ食べただけ(2001年1月5日)

 では続き。ソウル駅9:50発湖南・全羅線麗水ゆきセマウル号に乗ります。指定された席に座りましたが、周りはサッカーガキばかり。私の隣もサッカーガキでした。

 

 しばらくすると引率の先生らしき人が、席を替わって6号車に行ってほしい、というようなことを頼んできました。「6号車・・」とつぶやいて、「何番ですか?」といおうとしたら、他の引率の先生が「外国人だ」とか耳打ちして、私に話しかけた先生は「いいです」ということで去っていきました。

 

 私の他にも何人かの乗客に頼んで回っていましたから、どうやら席をまとめて取ることができず、バラバラになり、一カ所に固めようとしていたようです。またガキ列車か、と閉口気味でしたが、結局逆に私の横の席を一般客と交換したようで、ガキの代わりに大人の男性が座りました。まあサッカーガキどもも思ったほど大騒ぎしないのでホッとしました。

 

 途中までは京釜線を走り、大田という駅の手前で分岐して湖南線に入ります。大田は忠清南道の道庁所在地ですが、湖南線は大田駅には行きません。いったん京釜線の左に分岐し、なんだかスリル満点の高架橋でそろそろと京釜線、大田の町をまたいで行きます。よく見ると工事中で仮設の高架です。以前韓国で橋が落ちたりデパートが壊れた話を思い出して本当に怖くなりましたが無事。西大田駅に停まります。 

 

 湖南というのは韓国南西部の金大中氏の出身地全羅道の別名です。この地域は釜山など慶尚道に比べて発展が遅れています。とは言ってもこのところ急ピッチで追い上げているようで車窓から見る限り極端な差はありません。景色は途中から一面真っ平らな平野になります。特に見るべきものもなく、ただ時々停まる町が案外大きいというのが意外なくらいです。途中で分岐して全羅線に入り、12:53全州着。やはり京釜線よりずいぶん時間がかかります。

 

 この町は全羅北道の道庁所在地です。ビビンバの本場、ということでとりあえずここでビビンバを食べることにしました。ところが、ここも時間がないのです。しかも全州駅はなぜか市内中心部からかなり外れています。地図を見ると有名店は駅からどの店も5~6キロ離れているのです。

 

 仕方ないのでタクシーに乗り、韓国語で「近くておいしいビビンバの店へ行ってください」と頼んで走ってもらいました。日本でもこんなタクシーの乗り方をしたことないのですが、やむを得ません。タクシーの運転手はサングラスをかけ、しかも携帯電話で片手運転をして猛スピードで突っ走ります。どうなることかと思いましたが、5分ほどで良さそうな店の前につきました。確か3700ウォンだったのですが、支払いの時、お釣りをよこそうとしないので、「300ウォン」といったら、え、という感じで面倒くさそうにまさぐりだしたので、まあいいや、と思い、チップにしました。

 

 その店は適当に混んでいて、清潔感もあり、さりとて気取ってもいないし、安心して食べられる店でした。値段は忘れましたが、この内容でこの値段は安い、と思えるぐらいだったと思います。よく見ると、ガイドブックに書いてあった店の名と同じです。ガイドブックの写真よりきれいな店構えでしたのでどうも駅寄りに移転したか、あるいは支店だったのかもしれません。

 

 ビビンバに限らないのですが、韓国料理は前菜としてキムチやその他の付け合わせが4~5種類、あるいはそれ以上出てきます。これは全部食べる必要はないそうで、特に一人ではとても食べきれる量ではないのですが、ケチな私はもったいないと思ってついついほとんど食べてしまい、辛いキムチ以外は空にしてしまいました。それでもうビビンバを食べたら満腹。食後におそらく韓国伝統のものと思われる甘い飲み物が出てきましたが、これも美味で気に入りました。

 

 帰りのタクシーは若い兄ちゃん運転手でしたが、これまた猛スピード、片手運転(どうやらお姉さんと話していたらしい)で怖い怖い。一度ひやっとしましたが、さすがプロ、というべきか、無事駅に着きました。今度は3100ウォンぐらいだったのですが、端数を負けてくれました。つづきは次回に。