写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

08 紅白歌合戦とジェンダー

  ちょっと気が早いですが、紅白歌合戦の話。私は紅白好きで、テレビをほとんど見なくなった今でも紅白だけは見ます。もはや日本人の年中行事の一つと言ってもいいと思います。

 

 実は子供の頃からおととしまでカセットテープで録音していました。もうビデオの時代も終わっているのに保守頑迷です。昨年ついにカセット付きラジカセが壊れていることに放送直前に気づき、ついにPCで録音することに変更しました。これは来年何か大きな変化があるぞ、と思っていたら転勤になりました。まあ偶然ですかね。


 それはともかく、紅白の視聴率というのは他の番組と比較するものではなく、おせち料理を食べる家庭の割合とか、初詣に行く人の割合などと比べるべきものであるとさえ思っています。

 

 紅白歌合戦、という番組のコンセプトは男女対抗で歌合戦を行い、勝敗をつける、というもの。番組そのものが話題になるのに対して勝敗はあまり話題になりません。どちらかというと出場歌手の選考、歌そのもの、衣装や演出、さらにはハプニングが話題になります。

 

 ところでこの番組が生まれたのは戦後間もない1951年。1945年大晦日にに前身となる「紅白音楽試合」なる番組が歌番組が放送された、ということも聞いたことがあります。ともかく、戦後すぐに生まれた番組。男女が対等に歌で渡り合う、という形式は、考えてみれば男女平等が実現した戦後らしい番組であったといえるでしょう。

 

 ですが、時がたつにつれて、まず男女混成グループが出場するようになり、次にデュエット曲で出場するケースが見られるようになりました。その場合は便宜的に紅白に振り分けていたようです。

 

 その後演出方法も変わり、白組が連続で歌ったり、その逆のケースも見られるようになりました。

 

 さらに21世紀になると、紅白を行ったりきたりして出場するAAAのようなグループや、和田アキ子のように話題づくりとして白組から一度だけ出るケースも見られるようになりました。

 

 そして2005年だったか、性同一性障害中村中という歌手が紅組から出場、その後、2010年代になってから美輪明宏が白組から出場しました。美輪氏の出場は遅きに失した感がありましたが、昔のNHKの感覚では出せなかったのでしょう。時代の変化です。

 

 一方、社会では「男女共同参画」が叫ばれ、「ジェンダー」という語が多用されるようになり、LGBTへの配慮も重視されるようになりました。学校での男女混合名簿、履歴書や願書の性別欄廃止などということも言われるようになりました。ひいては性別役割の否定を求める動きもあります。「女の子は赤(あるいはピンク)」という色分けを疑問視する論考もあり、さらにアメリカでは男女別トイレすら否定する動きがあるというのをネット記事で読んだことがあります。

 

 そんななかで「紅白」という分け方が今後も許されていくのか、ということを考えてしまいます。私は戦後的な「男女平等だけども区別はあってよい」という考え方を支持しますが、社会的には「区別」もダメ、ということになるかも知れません。

 

 戦後的な紅白歌合戦、視聴率などだけではなく、「令和」になってジェンダーの面からやり玉にあがる恐れはあるのでしょうか?それとも考えすぎ、杞憂に終わるのでしょうか?