写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

09  四季の街ごよみ

 北海道在住が長くなった私ですが、一人暮らしのままです。今は問題ありませんが、昨日書いたように、老後、滑って転んで骨折したら目も当てられないことになります。仕事を辞めたら、北海道から離れた方が身のためかな、とも思います。

 

 子供の頃にあちこちに住んだ経験があり、訪れた街はもっと多くなります。全国を眺めてみて、老後の居住地はどこがいいだろうか、と考えることがしばしばです。ですが、なかなか一カ所に絞りきれません。夏は北海道の方がいいかな、冬は本州に戻って、なんて現実離れしたことを考え出します。

 

 さらに、季節ごとに住む場所を変えたらどこがいちばんいいだろう、などということまで考え始めます。こうなるともう妄想の域です。「枕草子」に「春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて」という有名な一節がありますが、四季の移ろいとともに住む場所を変えたらどこがいいだろう、などと考えてみました。

 

 春は福岡なんてどうでしょう。2月には梅が咲くでしょうし、春の訪れが早いところです。

 

 捨てがたいのが東京の春でしょうか。私は東京に住んだことがなく、しかし何度も訪れているので合計滞在期間は一ヶ月を超えます。四季それぞれに訪れた経験があるのですが、東京というと春のイメージが強いのです。

 

 私は東京の某大学に合格しながら迷ったあげく、地方の大学に進学したのですが、春の「上京」という言葉に憧れがあるのでしょうか。それと、東京の山の手エリア、あるいは郊外の武蔵野地区は、桜がきれいだ、という印象があります。桜の代名詞であるソメイヨシノは人工的な品種だそうですから、自然のままの場所より、人工的に手が入った場所が似合うように思います。

 

 夏は札幌。これは一択でしょう。同じ北海道でも太平洋側はダメです。夏の天気予報を見ると、札幌・帯広あたりまでは夏らしい気温なのに、釧路は夏とは思えない気温が表示されます。一見よさそうですが、どうも霧が出てジメジメして、夏らしい夏にならないようです。少しは夏気分も味わいたいので釧路は外します。

 

 札幌の夏は短く、お盆を過ぎると夏の終わりを感じることになります。温度はそれなりに暑い時期がもう少し続くのですが、少し寂しげな気分になります。そう考えると、夏は札幌、というよりは初夏は札幌、といったところ。札幌は5月末から7月にかけてちょうどよい気候が続きます。夏が過ぎると、秋はつるべ落とし。早めに本州に戻って暑い本州の夏の名残りを少し体験して秋を迎えた方がいいのかもしれません。

 

 秋は「和」を感じる古都で過ごしたい。京都、金沢、あるいは尾道などもよさそうです。もっとも、尾道は坂の町ですから、尾道水道を眺めることのできる高台の家に住んでみたいと思うものの、年を取ってからでは上り下りがきついでしょう。また、尾道の高台の住宅に引っ越すと、大型トラックが乗りつけられないので、代金がべらぼうに高い、という話も聞いたことがあります。そう考えると、京都か金沢、ということになります。どちらか迷いますが、個人的には、生まれ故郷である金沢に戻るのがいいのではないかと思います。北海道なら秋はつるべ落としですが、本州ならたゆたう暫しの時を楽しめるのではないかと思います。兼六園の紅葉でも眺めながら過ごししたいものです。

 

 冬はどこがいいのか、あまり思いつきません。いちばん暖かい沖縄を思い浮かべますが、雪が全く降らないのはそれはそれで風情がない、と思ってしまいます。ですが北海道や北陸のような豪雪地帯も困ります。少しは降って欲しい。「風花」が舞う、という程度。そう考えて地図を眺めてみるのですが、福岡では冬に少しだけ雪が降ることもあるようです。よく考えてみたら「日本海側」ですからね。一番最初に春は福岡、と書きましたが、むしろ冬は福岡、なのかもしれません。

 

 結論。「春は東京、夏は札幌、秋は金沢、冬は福岡」となりました。少しありきたりではないかと思いますが。ただ、実際には四季の移ろいから少しずらして、3月終わり~5月初めが東京、ゴールデンウィーク明けから8月末までが札幌、8月末から11月中旬が金沢、11月末~3月後半までが福岡、ということでどうでしょうか?

 

 移動期間を数日とり、途中で今回選に漏れた街に宿泊する、春は桜を追って移動する、なんて余生を妄想しますが、そんなことができる時なんて一生来ないのでしょうね。 夢、というより妄想のままで終わることになりそうです。

 

 機会があれば、今度は現実的に老後どこに住めばいいのか、ということを考えてまとめてみたいと思っています。