写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

44  和田アキ子「美しき誤解」

  和田アキ子、という人は、大物歌手として数年前まで紅白に連続出場していました。ですが、この人、この時代に活躍していた由紀さおり欧陽菲菲藤圭子いしだあゆみちあきなおみ、といった面々に比べると、中ヒットは多数あるのですが、その年を代表し、時代を象徴するような大ヒット曲には乏しいようです。

 

 1972年には「あの鐘を鳴らすのはあなた」という歌でレコード大賞最優秀歌唱賞を獲得しています。この賞は当時「準大賞」的な位置づけがされていたように思うのですが、この曲は「準大賞」といえるほどの大ヒットをしていないそうです。実際、その直後に放送されたNHKの「紅白歌合戦」では別の曲を歌っています。

 

 紅白には1970年から78年まで連続出場していましたが、その後落選、その後80年代半ばにカムバックして21世紀まで連続出場したのですが、大ヒットがあったから、というよりもタレントとして評価されていたのであって、司会者もやりましたし、むしろ水前寺清子に代わる「応援団長」的役割だった気がします。1980年代以後の連続出場は、歌手としての実績と言うよりも、紅白の中での活躍が評価されて選出されていた、という感が強いのです。

 

 ただ、「あの鐘を鳴らすのはあなた」で最優秀歌唱賞を獲得したように、歌唱力には定評があります。やや一本調子という感がしないではありませんが、それでも声量があって、見事な歌声です。バラード曲など、迫力と情緒を感じます。

 

 今回取り上げた「美しき誤解」は、そんな彼女の魅力が詰まった一曲だと思います。曲そのものは、この頃よく見られた洋画のワンシーンを切り取ったような情景描写の曲調ですが、特に1974年の紅白で歌われたときの映像は、彼女の歌の魅力が詰まっている、しっとりとして情感に満ちた「隠れた名曲」だと思います。

 

 このような歌が大ヒットしていれば、彼女の歌手人生ももっと違っていたのでは、と思うのです。今でも「大物歌手」として扱われていますが、もっと違った、タレントとしての評価よりも本格派シンガーとしての評価が高くなり、歌中心の活動になっていたのでは、と思わせられます。「再評価」されるまでもない実績のある歌手ですが、それでもこの歌を名曲として「再評価」しておきたいものです。

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