いま、東京都議選をやっていますね。この東京都議選、地方選挙ですから、北海道にいる我々には関係ないはずですが、意外と大きく報道されます。これは、やはり首都であるということ、もうひとつは、統一地方選挙から外れた時期に選挙があるため、クローズアップされやすく、また、国政選挙を占う上で指標となるからでしょう。
さて、この都議選に「都民ファーストの会」という会派から候補が多数出ています。前回小池知事の支持勢力として大躍進した会派で、今回はその反動で大幅減といわれています。東京都議選は極端な結果が出やすいという特徴があり、過去にも「風」が吹いて特定の会派が大勝利したことがありましたが、その次の選挙では大幅減となるという傾向もあります。
それはさておき、私はこの「○○ファースト」という言葉が嫌いなのです。おそらくもともとは「顧客最優先」の意味で使われた「カスタマーファースト」という言葉あたりが発祥なのだと思っていますが、これが拡散していろいろなところで使われるようになってしまいました。
私の職場でも、一時「○○ファースト」という言葉がスローガンとなっていました。違うんでないかなあ、と思いつつ、そういうスローガンが掲げられていることに対して皆さんが「すばらしい」とかいうものですから、長年継承されてきました。
ところがこの言葉が、「都民ファースト」や、アメリカ・トランプ政権の「アメリカファースト」として使われるようになり、政治的な色彩を帯びるようになって急速にその輝きを失い、数年前にスローガンから外されました。違和感を感じていた私はホッとしたものです。
特定の対象を最優先するということは、他のものを後まわしにするということです。「カスタマーファースト」の名の下に働いている者の権利が侵害されていないか、都民やアメリカを最優先とすると、その他の地域はどうなるのか。誰かを優先とすると、誰かが後まわしなってしまう、そこに考えが至らない思想だと思っています。
オリンピックをはじめとするスポーツの世界でも「アスリートファースト」のスローガンが叫ばれますが、そこまでする必要があるのだろうか、と思います。特にスポーツの世界は選手以外の裏方が意外といるものです。アスリートばかりに目が行きすぎるのもいかがなものかと思います。
ビジネスの世界発祥の言葉に近江商人の言葉だという「三方よし」というのがあります。「売り手よし、買い手よし、世間よし」というのですが、こちらの方には違和感を感じませんし、こちらの方がいいと思いますね。
あんまり「○○ファースト」という言葉を多用しないでほしいものです。