写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

19  「ひよ子」と「千鳥饅頭」

    先日、「どさんこ九州に住む」のブログを書いていらっしゃる「ナツネコ」さんがお菓子の「ひよ子」について触れていました。このネタ切れブログもそれに便乗して「ひよ子」の話を書いてみます。

 

 「ひよ子」は福岡の菓子なのか東京の菓子なのか、ということが話題になることがあります。ネットを調べるとすぐわかりますが、もともとは福岡の菓子だったのですね。福岡、というよりは筑豊炭田のある飯塚のお菓子だったそうです。ところが1960年代のエネルギー革命による石炭産業の斜陽化で、「ひよ子」は生き残りを図るため福岡市に進出、さらに余勢をかって東京進出ということになったようです。どこかで「ひよ子は出稼ぎ菓子である」という記述を見かけたことがあります。

 

 東京での「ひよ子」は上野駅でよく売れたと聞いています。西日本に向かう列車が発着する東京駅では「ひよ子=福岡のお菓子」というイメージを持った人が多かったのでしょう。上野駅は東北方面に向かう列車が多かったので「ひよ子=東京のお菓子」というイメージを持たれやすかったのでしょう。

 

 山口にいた頃は福岡の「ひよ子」のCMを見ていましたし、北海道に来てからは帰省時期に東京土産としての「ひよ子」のCMを見かけました。

 

 私も「ひよ子」を食べた経験がありますが、福岡のひよ子だったのか、東京のひよ子だったのか、定かではありません。2つ並べて食べ比べてみたいですね。

 

 もうひとつ、似たような経過をたどったお菓子に千鳥饅頭があります。これも発祥は飯塚だそうで、その後福岡、東京と進出していった「ひよ子」のライバル、出稼ぎ菓子だったようです。鳥にゆかりのある2つの饅頭が似たような経過をたどっていった、というのも興味深いです。

 

 ただ、残念ながら、「千鳥饅頭」の方は食べたことがありません。ですがこの店の製品にチロリアン」という洋風菓子があり、こちらは山口にいた頃に食べたことがあります。ロールクッキーにクリームが入れてあるお菓子です。子供の頃けっこう好きでした。ウィーン少年合唱団のCMをやっていたのを覚えています。

 

 さて、この「千鳥饅頭」と「チロリアン」を売っている千鳥屋という菓子店は東京や大阪などの店がそれぞれ「宗家」とか「総本家」「総本舗」「本家」と名乗って入り乱れているそうです。それぞれ兄弟が各地につくったらしいのですが、この手の話は全国あちらこちらのお菓子屋の名店によく見られる話ですね。あちこちで興味深い、でも当事者達には本家争いで大変だったであろう話が、各地に転がっているようです。

 

 北海道では「千秋庵」や「わかさいも」をめぐってこの手の話があるのですが、話が広がりすぎるので、またの機会にしましょう。

 

 この話題、食べ物の話ですが、両者ともずっと食べていないので「ひとり者の食卓」カテゴリーではなく、「地理と地域性」のカテゴリーに分類しました。でも、こうして書いていると、久しぶりに食べたくなってしまいますね。