庶民の分際で高いお菓子を買ったので、また「日本三大銘菓」の話を引っ張ります。
ということでここ数日、お抹茶を点てて、越後長岡の「越乃雪」、金沢の「長生殿」、松江の「山川」、この三種を食べ比べているのですが、同じ落雁様のお菓子なのに、「越乃雪」はサクサク・ホロホロとまさに雪どけ、「長生殿」はしっかりとしてポリポリとした歯ごたえがあり、「山川」はしっとりと柔らかく、という三種三様の歯ざわり、口溶けの違いが面白く、それぞれ、おいしくいただいています。
ただ、やはり、この手のお菓子、落雁はお茶がないと、砂糖の固まりのようで、味が引き立ちません。
日本三大和菓子どころ、といえば、京都・金沢・松江、ということになりますが、三大銘菓には京都の菓子は入らず、代わりに越後長岡の菓子が入っています。菓子そのものは三大銘菓の名に恥じぬものですが、長岡、というところの菓子が三大銘菓に入っているのはちょっと意外な気もします。
京都以外では福岡・広島・仙台・熊本あたりの菓子が入っていても良さそうなものです。前回書いたように「三大銘菓」に入れられることもある「鶏卵素麺」は福岡の菓子ですが。
また、松江では「山川」のほか、「若草」、「菜種の里」という三種の和菓子を「松江(不昧公)三大銘菓」と言うそうです。こういう「三大○○」というのを見ると、これまた三種食べてみたくなります。
さて、今回は記載されている原材料を比較してみます。
まず、「越乃雪」には、「和三盆糖(徳島県産)、餅米(新潟県産)、氷砂糖」と記載されています。氷砂糖は砕いて表面にまぶしてあるようです。餅米は粉にするのでしょうね。
「長生殿」の場合は、「和三盆糖(国内生産)、もち米粉、水飴 / 紅花赤色素、澱粉」という原材料名が記載されています。水飴を使っているので他の二種より固くなっているのでしょうか。
「山川」の場合、「砂糖(国内製造)、寒梅粉、食塩 / 紅花色素」となっています。他の2つと違い、「和三盆糖」とは明記されていません。ホームページをみると「古代山川」という、和三盆糖使用と明記されている姉妹品があるようです。
「寒梅粉」とは、と思って調べて見ると、「餅米を蒸して乾燥させ、粉にひいてさらに晒したもの」とのことです。ということは、結局餅米の粉なのですね。あと、食塩を使っている製品がこれだけです。
「寒梅粉」のほかに「白玉粉」とか、「道明寺粉」とか、「みじん粉」などと言う粉も出てきました。一体どう違うのか、ちょっと調べて見ましたが、本題から外れて泥沼に陥りそうなので、省略します。
要するに、基本的に三種とも砂糖と餅米粉でできているわけです。材料はシンプルで、ほぼ同じ。味もそこまでの明確な違いはないと思うのですが、食感が明らかに違います。この食感の違いを生み出しているのが製法の違いなのでしょう。
各社のホームページを見ましたが、製法の詳細は記載されていませんでした。秘伝の何かがあるのか、単に載せていないのか、これまたわかりませんが、つくっているところを見て比較したいような気もします。
なお、「日本三大銘菓」と書いてきましたが、「越乃雪」のしおりには「日本三大銘菓」、「長生殿」は、「日本三名菓」、「山川」の場合は「日本三銘菓」と表記されています。この微妙な表記の揺れが、また三種の落雁の食感の微妙な違いと相まってまたある種の玄妙さを感じさせるのです。