写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

79  安倍元首相暗殺に思う(その8) 

   安倍氏国葬にされるようですね。先日来時々登場する、私の知人氏は安倍嫌いなので、反対とのことでした。

 

 私も好き嫌いは別にして、歴代首相と比べて安倍氏が突出して国葬に値するような功績があったのか、と考えたとき、疑問が残るように思います。

 

 戦後国葬になったのは吉田茂氏だけだそうで、佐藤栄作氏が国民葬という形式をとったとのこと。吉田茂氏は戦後復興に尽くした首相でしたし、佐藤栄作氏は安倍氏が抜くまでは戦後最長政権、沖縄復帰を成し遂げ、非核三原則の制定などもあって、ノーベル平和賞(これには賛否がありましたが)も受けた人物です。

 

 吉田茂氏は歴史の教科書に太字で記されるような人物で、佐藤栄作氏も吉田氏ほどではないとはいえ、歴史的な功績があると思います。この2人と比べたとき、安倍氏国葬にふさわしい歴史的な功績があったのか、というと、どうもそうではない、少なくとも後世歴史の教科書で吉田氏や佐藤氏並みの扱われ方をするようには思われません

 

 「アベノミクス」で劇的に日本の経済が良くなったわけでもありませんし、北方領土の返還、あるいは賛否が分かれるにせよ、憲法改正でも成し遂げていれば歴史に特筆すべき存在になったかもしれませんが、どうも先に挙げた2人に比べると、長く総理大臣をやったものの、功績の面では客観的に見てもかなり弱いかな、と思います。

 

 そのほかの元首相の場合、内閣・自民党合同葬という形式をとることが多いそうです。考えてみれば、葬儀とは言え、内閣と自民党が合同葬をやるというのも奇妙なものですが、現職で死んだ大平正芳氏や長期政権を率いたうえで100歳以上まで長生きし、歴史的には安倍氏よりは客観的にも功績があったと思われる中曽根氏でもこの形式だそうですから、安倍氏がいわば2ランク上の葬儀の格式に値するか、疑問が強いです。

 

 最長政権だったこと、それに悲劇的な亡くなり方をした、という点を考慮してもせいぜい佐藤栄作氏並みの国民葬」ぐらいが落としどころではないか、という気がします。この国葬という異例の葬儀形式をきっかけに安倍氏の偶像化が始まるのかもしれない、という気もしていますが、それはやめてほしいな、と思いますね。