写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

42  「日本縮小党」

 以前何度か、「群れたくない人の政治」を実現してくれる方策はないものか、ということを書いたことがあります。集団主義が嫌いで、個人主義の人間にとっては、組織である政党に属している時点で、どの党であるかにもかかわらず、自分たちとは違う人間であり、自分たちの代表ではない、と思ってしまうのですね。民主主義が多数決を原則としている以上、「数は力」で、大きな集団をつくっていくことが自分たちの利益を実現するために必要なのでしょうが、私はそのようなあり方に懐疑的になっているのです。

 

 それともう一つ、近頃の政党のあり方に疑問を持つようになっていることに、どの党も、「バラマキ」や「無償化」・「イベント」・「(鉄道・高速道路などの)延伸」をいまだに訴えてばかりいることです。党によって多少、重点分野や方向性は違っていますが、どの党もこのようなことばかり。

 

 日本は人口が減少し始めてからもう10年以上が経っています。それに合わせて社会を構築し直さなければいけない時期に達しているのに、依然として「前向き」な「夢語り」ばかり語っている、それでいいのでしょうか?

 

 日本は下り坂の衰退国です。縮小して行く日本、その衰退をなだらかに、できるだけ不便さや負担を感じさせないようにやりくりし、ゆっくり下りて行く方策が必要ではないでしょうか。

 

 例として、地元のことに話題を転じますが、2030年の札幌冬季オリンピックの誘致断念が伝えられました。私は最初から反対派だったので、ホッとしましたが、これに合わせて北海道新幹線建設や札幌駅再開発が行われています。北海道最大の都市で「一人勝ち」と言われる札幌市でさえこれ以上人口は伸びないと言われており、そこにこれまで以上の箱物が必要なのか、疑問に感じます。

 

 前回の札幌市長選挙で現職の対抗馬としてオリンピック反対の立場から「オリンピック招致の住民投票」を訴えて善戦した候補がいましたが、この人が同時に「地下鉄延伸」を訴えていたことには幻滅しました。特に手稲方面は確かにJRの冬季運休や遅延が目立ちますが、手稲駅は確か乗降客数がJR北海道管内にで2位か3位であるはずで、ここと札幌駅の間は経営が苦しいJR北海道の稼ぎ頭の区間です。

 

 ここに並行する地下鉄をつくると、JR北海道は決定的に経営が苦しくなるはずです。この地区の将来人口が倍になるという見通しがあるならともかく、そういう見込みもないのに、ただ冬の運休や遅延が多い、といって地下鉄延伸を訴えるのは、無理があるのではないかと思うのです。JRの本数削減、もっと極端なこというと路線廃止に追い込まれると、小樽の人が困るでしょうが、そこに思いが至っていないのではないかと思います。

 

 本気で地下鉄延伸を考えるのであれば、車社会を見直して公共交通機関への誘導をしなければなりません。私は車に乗っていないせいか、そもそも今の車社会は異常ではないかと思っているのですが、一部の都市で試みられているコンパクトシティー」化が必要で、車社会を前提にしたやたらな郊外開発はもう見直す必要があると思っています。

 

 高齢化が進む現在、高齢者がいつまでも車に乗れるわけではないでしょうが、無理矢理乗っている高齢者も見かけます。コンパクトシティー化を進め、必要な市街地にはバス、それに既存公共交通機関の維持活用に集中する、と言う取り組みが必要ではないでしょうか?

 

 いつまでも経済成長し、夢をばらまくような政治ではなく、現実の小日本を見据えて政策を立案していく政党、たとえば「日本縮小党」とでもいう政党こそが必要になっている時代ではないかと思うのですが、まだそういうのが現れませんね。