写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

05 2日目ハバロフスク午後 アムール川とインツーリストホテル(2019年8月4日)

   8月4日土曜日の13時頃、トロリーバスの終点コムソモリスカというらしい)につきました。終点はループ式になっています。とりあえずトロリーバスには乗ることが出来ました。ここからホテルは近いのですが、まだチェックインに早いかな、と思います。そこでアムール川を見に行くことにしました。ループ式の架線に沿ってちょっとした坂を上り、通りに出ました。

 

    そう、ここです。27年前に、ホテルからおっかなびっくり歩き、道路に架線が張ってあって、多分トロリーバスの架線なんだろうと思いつつ、早朝で車両を見かけることができませんでした。あのときは市電の線路のあるところまで歩きましたが、路線がどこまで続いているのかも、どう乗るかもわからず、昼にはシベリア鉄道の列車に乗るので市電試乗を断念しました。その積年の心残りを晴らそうというわけです。

 アムール川を眺める展望台があったので、そこに行きます。白い展望台で、崖の上にあります。天気も良好。行ってみると、これが絶景アムール川はこれが川か、と思うほどの幅の広さ。私が今まで見た中では一番大きな川幅です。湖か海のよう。距離感覚がつかめませんが、川幅は1キロぐらい、あるいはそれ以上あるのではと思います。とくに左側は大きく湾曲し、遠くまで続いています。

 

   そして左岸には町並み。ロシア正教の大きな教会が2つ。屋根に金色の飾りをつけています。その付近に白い壁に緑の屋根のロシア建築。自然と建築が調和して絶妙です。遙か彼方には工場があるようで、煙突から煙が出ています。その奥は中国になるはずです。対岸は緑の森。崖下の河岸には遊歩道があります。水は茶色く濁っていますが、勢いよく流れ、さざ波が立っています。「アムール川のさざ波」という歌があったなあ、と思います。

 

    27年前に一度見ているのですが、そのときは真冬。冬景色で、しかもロシア人に毛皮の帽子を3000円で買わないか、といわれ、これは違法だから買わないように、とガイドブックに書いてあったので欲しかったのですが迷ったあげく断りました。あのときも、壮大だとは思いましたが、夏に来て、ここまで美しいとは思いませんでした。これを見ただけでも来た価値があります。思い切って正式ビザまでとってハバロフスクまで来て本当によかった、と思います。

 

    ただ、あまりに美しすぎて、カメラを持ってこなかったことを後悔しました。まあ、今の時代、ネットに私よりうまく撮っている写真もいっぱいありますし、ストリートビューもあります。撮ったところで下手な写真を見てがっかりしただけかもしれません。そうは言っても、この町はどこへ行っても絵になる町で、フォトジェニックというのか、私のような者でも写真を撮りたくなる町です。日程の都合上、一度行ったことのあるハバロフスクでの滞在時間が一日半と長めになってしまったのですが、これなら川を眺めているだけでも全然飽きないぞ、と嬉しくなります。
 
 崖の上から下に降りるところは公園になっていて、ここを降りて河岸に出ます。近年整備されたようで、新しい遊歩道があります。天気もよく、暑いですが、川沿いですから、苦になりません。実に気分がいいです。遊歩道の横には遊園地やテニスコート・観覧車などがあります。遊歩道が整備されてしまったせいか、河岸の砂浜はわずかですが、それでも柵を乗り越えて河水浴(?)をしようという人たちもいて、短い夏の一日を楽しんでいる様子です。アムール川鉄橋が見えるところまで歩こうと思い、見えたところで戻ります。

 

    今度は反対側の船着き場方向へ行き、崖の上に戻り、14時になったのでホテルに行きます。ホテルはインツーリストホテルといって、27年前にも泊まったところです。当時は外国人観光客は必ずここに泊まらされていたようで、ハバロフスクを代表するホテルでした。あのときだって古びていたのに、どうなったかと思います。料金は27年前12000円だか14000円だかしたのに、今回6000円を切ります。ネットで調べても、全体的にハバロフスクウラジオストクに比べるとホテル代が安く、泊まりやすい町です。

 高層建築なので、遠くからでも目立ちますが、外装はもうボロボロ。いかにもソビエト時代の建物です。前には何台か団体用のバスが停まっていましたが、入口前はがらんとしています。中に入っても閑散としています。売店もなく、工事中なのか撤退したのか、がらんどう。縮小されたフロントがあるだけ。背後に「Paris」とか「Tokyo」と表示されていますが、昔、世界の時刻を表示する時計があったのでしょう。時計はなくなっています。

 

    受付キリル文字で「アンナ」とか書いてある名札をつけた、ロシア人の美女が2人います。予約の紙とパスポートを差し出すと、意外にも日本語が話せます。「パスポートを1時間ほど預かります。」といわれます。このホテルは昔ながらの「滞在登録」を真面目にやっているようでした。

 

    そのあと、カードキーをもらい、エレベーターで指定された5階の部屋に行きます。昔は各階に「鍵おばさん」がいて、この人から鍵の受け渡しをされていたのですが。ところが、行ってみると、予約のとき「リバービュー」の部屋を指定したのに、「シティービュー」の部屋で、町は見えますが、川が見えません。一度フロントへ戻り、「リバービューを予約したんですけど」と日本語で言うと「リバービューって何ですか?」といわれます。「川」というとわかってくれたようで、「6階の部屋になります。」といわれ、再度エレベーターを昇ります。

 

    昔はなんか危なっかしいエレベーターだった気がするのですが、今は普通です。今度の部屋はリバービューアムール川雄大な景色が見えます。木目調の部屋で、ちゃんときれいなバスタブもあり、内装はリニューアルされたようです。パンフレットが置いてありますが、英語と韓国語。27年前は間違いだらけの日本語パンフレットがおいてあって、記念に持ち帰ったのですが、なくなって残念です。パスポートが戻ってくるまで1時間ほど休憩。

 日本人はハバロフスクというと、「ハバロフスク小唄」とか、「異国の丘」などのシベリア抑留か、あとは寒くて厳しい冬か、ソビエトの抑圧的な体制を思い出す程度でしょうが、夏のハバロフスクは素敵なところだなあ、と思いました。いいところに来たぞ、と思います。