写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

04 2日目ハバロフスク空港とトロリーバス(2019年8月4日)

 飛行機ハバロフスク空港に着きました。タラップを降りてバスに乗り、預け荷物がありませんので、さっさと到着ロビーに出ます。この空港ビルがなんとも面白い。古くさいコンクリート製の建物で、昭和感というか、ソビエトというか、とにかく40~50年前ぐらいにタイムスリップした感じ。なお、この建物は国内線ターミナルで国際線は別の建物だということです。

 

 こういう古くさいものが大好きな私ですから、ハバロフスクまで来てよかったー、という感慨を催します。トイレも便座がなくて大便器が少し高い位置にある独特の仕様。こんなの見たのはここだけでした。なお、トイレはどこもきれいでした。

 

 早速気に入り、時間の余裕もあるので、あちこち見て回ります。この日は晴れていましたが、明日は雨の予報でしたので、まずを買います。空港に売店がいくつかあるのですが、これがまた古色蒼然としていて、キヨスク風の店。周囲をガラスケースで囲み、そこに商品をいっぱい並べています。傘だったり鞄だったりおもちゃだったり。雑貨が多く、デザインやぬいぐるみの顔も野暮ったくて独特です。こういう店、日本ではなくなったなあ、と思います。

 

 店のおばさんたちは中に座っていて、小さい窓口のガラス窓を開けて注文する形式。ロシア語がわかりませんので、商品を指さして売ってもらいます。傘を開いてこれでいいかという感じでした。950ルーブル。考えてみれば傘を買った店は少し広く、開放的だったのかもしれません。

 

 今度は食事をしたいのですが、入りやすそうな食堂は入り口にメニューがあるもののロシア語表示だけ。これでは躊躇します。横にアイスクリーム屋があります。ロシアのアイスクリームは「マロージェナエ」(мороженое)です。もちろんうまく発音できません。マロ何とか、とわかる程度です。とにかく、こちらなら何とかなりそうなので、グダーッとしているおばさん店員に指さし、まず基本のバニラアイスクリームを買います。カップかコーンか、コーンにします。どうも量り売りらしく、どれぐらい入れるか、という仕草をしますが、うまく伝わりません。重さを量って164ルーブル。ロシアのアイスはうまいと聞いていましたが、濃厚で、確かにかなりのおいしさ。

 

 そのあと、意を決して食堂へ。メニューの一番上にボルシチらしき表示があり、ボルシチならあるだろうと思います。横のテーブルに先客が食べ残した、真っ赤なボルシチがあったので、大丈夫だろうと思い、カウンターで「ボルシ」といいます。この方が現地語に近いそうです。わかってくれましたが、そのあと何か言います。もちろんわかりません。パンはいらないのか、とか言っているのかなあ、と思いましたが。ボルシチ180ルーブル

 

 先客が食べ残していたし、空港のパッとしない食堂でしたので、食べられればいいか、と期待していませんでした。待っているあいだ、メニューを眺めていると、ほとんどわかりませんが、「エスカロップ」と読めるものがあります。根室名物のあれはロシア料理なのか、と思い、興味を持ちましたが、注文を追加するのも煩わしく、そのままにしました。出来たボルシチを取りに行って食べます。ぬるかったのですが、肉の味がダシになっていて、意外なうまさ。期待しなかったから余計おいしかったのかもしれませんが。ハバロフスクいいじゃん、と思います。

 

 どうもここは新空港ビルを建設中らしく、横に工事中の新しい建物がありました。これが出来ると、あのレトロで趣のあるターミナルはなくなります。今のうちに来てよかった、次に来る機会があってもウラジオストクのような真新しい建物になっているんだろうな、と思います。

 

 27年前は国際線のターミナルでしたが、真冬の夜について狭くて白熱灯の暗いロビーでたくさんのロシア人が雑踏していて不安になったことを思い出します。このときは不安だったのでトランスファーという送迎サービスを頼みました。トヨタの車で真っ暗闇の中すごいスピードで突っ走って行ったのを覚えています。

 

 今度は夏の真っ昼間ですから、公共交通機関でホテルに向かいます。外に出るとすぐ右側にバス停がありますが、これは使いません。どこかにトロリーバスの停留所があるはずです。どこかなあ、と思っていたら、構内の先にある道路にポールをつけたバスが見えました。そこまで歩きます。日本にはなく、世界的にも珍しい乗り物ですから、是非乗ってみたいわけです。

 

 路線図をネットで調べたら、何とか見つかって、1番線に乗ればホテル近くのコムソモリスカヤというところまで行くようです。早速やって来たトロリーバスに乗ります。オンボロでうれしくなります。まさに市電とバスの中間といった感じ。音は電車に近いです。空港が起点なのですが、一回奥まで行って、旋回するようでした。

 

 どうも「25ルーブル」と書いている表示があります。これが料金なのでしょう。20時以降30ルーブルなのかな、と思わせる表示もありました。ばあさんに近い車掌がやってきたので、25ルーブルを払います。均一料金のようで楽です。車掌はJRの車掌が持っているような機械を持っており、これで領収書なのか切符なのか、レシートを渡します。現金払いのみという情報でしたが、中にはカードをタッチさせている人もいました。どうもマスターカードならOKのようで、広告がありました。ただ、あまりうまく反応していない場合も見かけました。車内に目の周りを真っ赤にメイクした若い女性がいて、こんなところでも異国だなあ、と感じます。
 
 緑に囲まれた広い一本道トロリーバスは走ります。行き交う車が結構多く、道をとり囲む植生は、北海道と似ているやわらかな緑です。ときどき停まって乗り降りがあり、周囲にはアパートや広告、建物や店があります。大きな広告板には、普通の広告ではなく、選挙ポスターかな、と思わせるものも多かったです。キリル文字なので、実際のところ、どうなのかわかりませんでしたが。

 

 ロータリーみたいなところを乗り越え、そのあとシベリア鉄道の線路をまたぎ、市街地へ入ります。左に銀色ドーム型の建物と大きな新しい建物があり、これがハバロフスク最大のショッピングセンターとのことでした。

 

 それから公園の脇を通ります。緑が美しく、落ち着いた町です。公園には遊園地らしきものもあったような。この通りは今でもカールマルクス通りというようです。しばらくしてレーニン広場の脇に出て、突き当たりで左に折れ、また右に曲がります。

 

 このレーニン広場、正面に赤煉瓦の建物、広場には噴水がたくさん設置され、それが勢いよく吹き出しています。それをとり囲む花々。なんて美しい町なんだ、と思います。トロリーバスの車窓から瞥見しただけなので、この広場はあとでもう一度訪れようと思います。ロシアと比べると、地元の北海道であっても日本は箱庭的だなあ、と思います。こちらは大陸的で幻想的とさえ言える感じ。

 

 市電の線路を横切ります。アムールスキー通りという目抜き通りには赤レンガやロシア風の白い壁に緑の屋根の建物、威圧的な社会主義風建築などが並びます。アムール川がある突き当たり手前で右に曲がり、小道のところで終点。ここが「コムソモリスカヤ」なのでしょう。まだ13時ぐらいです。