NHKラジオに「第二放送」があります。もともと教育番組を中心に編成されている放送ですが、近年では語学講座の垂れ流し状態。語学講座はオンデマンドでも聴けますから、存在意義に疑問を感じますが、こういう時代に取り残された存在が好きな私は、いつまでも残って欲しいものだと思っています。
そんなNHK第二放送ですが、一日一回「気象通報」の時間があります。昔は朝9時10分、夕方4時、夜10時の三回でしたが、今はいちばん聞きにくい夕方4時の一回だけ。登山をする人が聞きやすい時間帯だからだそうですが、一般の勤め人のために夜10時の放送を残して欲しかった、と思います。
日本列島とその周辺の天気や気圧、風速を淡々と読み上げるだけ、これを聞いて天気図を作った人もいらっしゃるでしょう。私は天気図を作るような趣味は持ち合わせていませんが、確か20世紀の頃までは、理科系であろう気象関係者の地名への無頓着さのためか、日本周辺の地名を旧地名や日本語読みで取り上げており、「シスカ(敷香=樺太)」や、「松輪島」(千島列島)、「うつりょうとう(ウルルン島=韓国)」「さいしゅうとう(チェジュ島=韓国)」などと淡々と読み上げるので、まるで戦前、大日本帝国時代の放送を聞いているような趣がありました。
現在ではさすがに現在の地名で読み上げています。
ところで韓国でも、KBS第一放送で早朝4:40から「漁業気象通報」という番組があります。こちらは「漁業」と銘打っているので、まず海洋気象を読み上げたあと、各地の気象通報に入ります。
実はこれが韓国語初学者にはリスニングの最適素材なのです。固有名詞と天気(近頃は晴れの場合は省略するようです)、気圧と風向・風速の数字を延々と読み上がるだけですから。ただ、いまだに私は気圧の「千何とかヘクトパスカル」の「何とか」の部分がなかなか聞き取れません。修業が足りないのですね。
現在の通報地点(2020年7月・フルバージョン)は以下のとおりです。現在では、どうも一日おきにフルバージョンと「北韓」(北朝鮮)抜きの短縮バージョンを放送するようで、短縮バージョンの場合は読み上げの順番が違います。
韓国版 赤字は日韓共通の通報地点です。
<ロシア>
<ウリナラ(韓国)>
束草・白翎島・江陵・東海・ソウル・仁川・「鬱陵島・独島」・瑞山・鬱珍・
<日本>
稚内・札幌・根室・青森・仙台・輪島・東京・八丈島・西郷・松江・大阪 ・潮岬・厳原・福岡・ 鹿児島・清水(土佐清水と思われます)・名瀬・石垣島・那覇・南大東島・父島
<中国>中国語読みされます
長春・瀋陽・北京・大連・済南・青島・武漢・南京・上海・福州・厦門
以前は「ラジオたんぱ」(現ラジオNIKKEI)で朝5時半頃から韓国と同時刻発表の気象を通報する「気象通報」があり、答え合わせができたのですが、今はなくなり、できません。
参考までに日本版の通報地点を載せておきますが、夕方4時からの放送では、平日はもちろん、休日でも外出時が多く、ほとんど聞くことができません。やむを得ず気象庁のページから引用しました。
NHKでも「気象通報」は聞き逃しサービスの対象外になっているようです。先日JR北海道にクレームメールを送りましたが、今度はNHKに要望メールを送ってみましょうか?
日本版 赤字は日韓共通の通報地点です
<日本>
石垣島・那覇 ・南大東島・名瀬・鹿児島・福江・厳原・足摺岬・室戸岬・松山
浜田・西郷・大阪・潮岬・八丈島・大島・御前崎・銚子・前橋・小名浜・輪島
<ロシア>
ポロナイスク・セベロクリリスク・ハバロフスク・ルドナヤプリスタニ・
ウラジオストク
<韓国>
<台湾>
台北・恒春
<中国>日本での慣用の読み方です
<フィリピン>
バスコ・マニラ
<日本>
父島・南鳥島・富士山
これで終わり。ポロナイスクは樺太の旧「敷香」、セベロクリリスクは千島列島北部のパラムシル島にあり、ルドナヤプリスタニは沿海州にあります。昔は日本でも「テチューヘ」からの通報を読み上げていて、ラジオたんぱ版では「テルネイ」からの通報を読み上げていました。それぞれ位置が違います。「テチューヘ」は今、ダリネゴルスクというそうですが、韓国版では「テチューヘ」のままです。
韓国版では北朝鮮のデータを入手して放送していますが、日本版では北朝鮮の通報地点がありません。韓国が入手できるのですから、日本だってデータ入手ができそうなものですが。それに日本国内なのに韓国版だけで放送されて、日本版では放送されていない地点がありますね。日本で必要性が薄いのか、韓国版では有名都市を入れてわかりやすくしているのか、理由は判然としません。
時代錯誤な番組なのだろうと思いますが、一部の必要としている方々と、その他のマニアのために、いつまでも残しておいて欲しいものです。