写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

16 キム・サンヒ「楽しいアリラン」(즐거운 아리랑)

 韓国を代表する民謡といえば、アリランですが、この歌、さまざまなバリエーションがあるとはいえ、いちばん有名なものは、ずいぶん暗い歌です。「アリラン アリラン アラリヨ アリラン峠を越えていく」のですが、続きは「私を捨てて行ってしまったあなたは十里も行けずに足が痛む」というような歌詞で、これが国を代表する歌、といえるのか、日本の「さくらさくら」などと比べていかがなものか、と思ってしまいます。

 

 韓国の人たちもきっとそう思っていたのでしょう。それで作られた、と思われるのがこの歌「楽しいアリランです。歌うのはキム・サンヒ(金相姫)という女性歌手。1970年代にはずいぶん人気のあった歌手のようで、以前取り上げた「青白歌合戦」にも出場していたようです。

 

 この曲で当時開催されていた「東京音楽祭」に出場したようです。韓国側のネット資料では「1977年、東京代々木公園で開かれた東京国際歌謡祭で「楽しいアリラン」を歌い特別賞受賞」という記述が見られますが、日本側の「wikipedia」では1976年の「第5回東京音楽祭」出場曲として彼女の「ジョイフル・アリラン」が記載されています。

 

 私はどうもこのころの「東京音楽祭」を見ていなかったようで、残念ながら記憶にありません。1978年のものは見た記憶がありますが、この曲は出場していませんでした。どちらが正しいかわかりませんが、1976年の韓国の歌番組でこの曲が歌われた映像がありますから、おそらく1976年に出場し、歌われたとみてよさそうです。

 

 当時の韓国に対する日本人の一般的なイメージは軍事政権下の遅れた国、暗くてうさんくさい国、というものだったと思います。それに対して韓国の明るい面をアピールしようとして歌われたものでしょう。

 

 ラララララララ、花咲くアリアリラン ラララララララ 歌うアリアリラン 山に住む鳥よ 連れ添っていい感じ 峠を越えていく私も愛をたずねていく 道は遠いけれど楽しい心 目に浮かぶ懐かしい顔 青い山のように 私たちの愛はいつでも楽しく 泣きながら越えたアリラン峠 笑って越える

 

 とでも言うような歌詞です。(間違っていたらどなたか教えてください。)おそらく韓国語で歌われたのでしょうから、伝わったかどうかわかりませんが、華やかな曲調で国際歌謡祭向き、韓国だってこんな明るい面がある国なのだ、と訴えるような曲です。

 

 ところが、この曲を今ネットで聞くと、バックの演奏が、無理矢理突っ走り、エンディングでは、勢い余って脱線しそうな感じです。ライブならともかく、レコード歌謡でこのような演奏は珍しいと思います。でも、当時の韓国の前のめりの突っ走り感をよく表しているようにも感じます。

 

 後年録音されたと思われるバージョンや近年の歌番組で彼女が歌っている映像もyoutubeにありますが、面白さでは最初のバージョンにかないません。最初のバージョンはよく削除されてしまうのですが、味わい深いのはこちらのバージョンなので、是非こちらで聞いてもらいたいと思います。

 

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