写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

08  沖縄のタクシー最悪(2002年1月6日)

 島づたいの船旅を続け、沖縄本島が見え、やっと沖縄に来たなあ、と感慨に耽ります。与論島以後、ずっとデッキにでていました。反対側を見ると、ディズニーランドのどこかのアトラクションにあったようなとがった山を持つ島が見えました。これは伊江島のようです。ずいぶん面白い形ですが、こうした島が見られるのも船旅ならではです。

 

 日が傾き、16:50頃、本島北部の本部港着。方向転換をして、島を結ぶ橋の見える港に入港します。最近寄港することになったようで、「歓迎」の横断幕があります。車はほとんどここで降りていくようでした。面白いのはが何頭か運び出されたこと。そういえばどこかで山羊も積まれていました。牛は檻から出されてどこかへ連れて行かれます。

 

 いよいよ那覇に向け出航です。観光写真で見たリゾートホテルや、「象の檻」こと楚辺通信所が見えます。 日が暮れて、18:40分那覇に着きました。ついに都道府県訪問達成です。先に夜が来たせいと昼は約2時間ごとに寄港するので退屈せずに楽しい船旅が過ごせました。

 

 ところが、降りてみると、古くさいターミナルビルがあるだけ、それも閑散としています。ホテルはインターネットで予約した港から1キロほどと思われる安ホテル(一泊3500円)です。明るければ歩いて行きますが、暗いし、バス乗り場も分かりません。ちょっと不安になり、仕方なくタクシーに乗りました。初乗り450円で安かったので。

 

 これが大失敗。初老で沖縄顔の運転手はそのホテルを知りません。住所も言ったのに「そんなホテル知らん」と不快な態度。全然違うホテルに行って「ここでないのか」とか言い出す始末。「違う」というと、仕方なくまた走り出しましたが、途中で出会った同僚に聞いても知りません。

 

 仕方なく近くのホテルに入り、聞いていましたがそこでも分からないようです。そのとき役に立つかと思ってうっかり住所と簡単な地図をメモした紙を見せたのがヤブヘビ。これにはここまでの行程がメモしてあったのです。北海道から妙なことをしてここまで来ていることが分かり、運転手はますます疑心暗鬼になり、「一体お宅は・・・」といい出す始末。おそらく「何をしているんだ」といいたかったのでしょうが、そこで言葉を飲み込みました。近距離客で目的地が分からないのですから運転手は「えらい客を乗せてしまった」とか、ますますひどいことを言い始めます。

 

 後でわかったのですが、そのホテルの所在地が元の遊郭の地帯にあり、そのせいで運転手は「ここは風俗街で普通の人の泊まるところじゃない」とかいいだします。どうも無知の人間が知らずにラブホテルを予約したのでは、と疑いはじめたようです。「えらいところに泊まる」とか、「何でこんな所予約したのか」というので、「インターネットで見て安かったので」というと「それぐらいでは安くない、別の所を案内してやる」とか言い出します。

 

 それでも店の店員に道を聞き、その人が知っていたのでやっと到着。気の弱い私は「すいませんでしたね」といって570円払って降りました。あれだけウロウロしたのにこの安さ。運転手が不快になるのも仕方ないかと思いましたが、でも沖縄に来て最初に出会った人間がこれでは沖縄の印象がすこぶる悪くなります。こっちも何か日本、いや、韓国以下の所に来てしまった、と思い、「えらいところに来てしまった」とか「沖縄最悪」と思いました。 

 

 着いてみると、確かに安ホテルで、日本のホテルよりは韓国で泊まった旅館に近い感じでした。でももちろん普通のホテルです。運転手が聞きに入ったホテルからすぐ近くで知っていても良さそうなものです。あそこで分かっていれば運転手もあんなに不愉快な言動をしなかったでしょう。

 

 ホテルの主人が一通りいろいろ説明し、3泊分の料金を払い、部屋に入りました。確かにケチっている印象はありましたが、風呂つきですし、清潔で別に文句はありません。

 

 夕食を食べなければいけないのですが、運転手に「風俗街だ」といわれたし、確かに前にソープランドがあるので不安げに出かけます。でも前のソープとあと風俗店が数件ありましたが、それ以外は普通の店がほとんどです。どうやら周囲はステーキ屋が多いようです。不安になっているので、一番無難そうな店に入りました。

 

 でも、ステーキセットが1200円と安く、久しぶりにステーキ食べたせいか、とてもおいしいです。顔の濃いウエイターの兄ちゃんもちゃんとしていましたし、沖縄も悪くないなと思いはじめましたが、でもタクシーの件があまりに不快で気分の悪い状態で戻りました。せっかく観光客が少なくなっている沖縄に来て狂牛病で困っているであろうステーキ屋に入ってやっているのに・・・。

 

 まあ、昼に島に寄って、夜に那覇に着く船に乗って、それは楽しかったですし、ホテルも安いなりでしたが悪くはなかったといえます。でも、夜に知らない街でウロウロするわけにもいきません。後でわかったのですが、ここはわかりにくい位置にあり、確かに旧遊郭地帯で安くしないと客が集まらないのでしょう。

 

 タクシーに乗らざるを得ないのは必然だったのですが、知名度がなくしかも港から近距離のホテルなので運転手にとっては最悪の客だったのでしょう。船とホテルの条件を考えると、こういう目に遭うのはこれも必然だったのかも知れません。楽しい船旅と安いホテル代の代償と思うことにしましたが、何でこんな所に来てしまったんだろう、と思いつつ寝ました。ちなみに「ホテル トランス オーシャン」というホテルでした。