写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

03 小幌駅探検記<その1>(2002年5月5日)

 2002年5月5日に小幌駅」訪問をしていました。そのときの記録が出てきましたので掲載します。

 

 この駅は「究極の秘境駅」「秘境駅ナンバーワン」といわれるところです。こちらに来てから伊達に行く途中通るわけですが、最初見つけたときはびっくりしました。長大トンネルにはさまれて一瞬崖下に海が見える、そんなところにやたら小さな駅があるのですから。そのあと「秘境駅」として一部で有名であるということを知ったわけですが、近いということもあり、行くことにしました。小旅行には格好です。それになんといっても取り付け道路がなく、鉄道以外でたどり着くことのできない駅、というのがすばらしいです。

 

 長万部13:20発の列車で出発です。しかし、券売機の上の料金表に「小幌○○円」の表示がありません。そんなところで降りる人などマニア以外は皆無でしょうから仕方ないです。窓口で「小幌までいくらですか?」と聞くのも小っぱずかしいので、次の礼文駅までの切符を買います。440円。

 

 改札のとき、礼文に行く人すらもめったにいませんから、係員に「おや」という感じの様子をされました。いつもガラガラのこの列車、連休中ということで「一日散歩きっぷ」利用と思われる家族連れやマニアらしき人も数名乗っています。

 

 秘境駅ランキング第52位の旭浜駅(ここは何もないところにポツンと短いホームがあった<現在は廃止>)、無人化されて荒れ果てた静狩駅を過ぎ、いよいよ長いトンネル、緊張します。なにしろこんなところで降りていいのか、という感じの駅ですから。

 

 13:41小幌着。数名が前に進みます。さすが秘境駅ブーム、と思いましたが、降りたのは私一人。あとの人はただ見るだけか、あるいはさすがにここで数時間過ごす覚悟ができず見過ごしたかでしょう。ホームには明らかにマニアらしき3人の学生風の人がいて、私と入れ替わりに列車に乗ります。

 

 私がまた乗ると思ったのか、列車はなかなか発車しませんでしたが、しばらくして私一人が取り残されました。両側をトンネルで挟まれたわずかの隙間に短いホームが対面式で2面あるだけ。そのトンネルも片方は3本あって一本は使われておらず、あやしさを増す効果を挙げています。

 

 上には国道の橋が見えますが、道路はつながっていません。清冽な水が流れる小川(滝に近いような・・・)がホームを横切っています。こんな駅にも簡易警報機つきの踏切があり、それを渡って海側へ。

 

 この駅はもともと保線用の信号場だったので、小さい建物が三つあります。一つは山側にある建物ですが、これは閉まっていました。海が見える崖側に2つ。一つはまあまあの大きさのプレハブ建物。これも閉まっています。もう一つは小屋です。これだけが空いていました。

 

 海側には2本のけもの道のような道があります。まず林に進む方をたどっていくと、しばらくして掘っ立て小屋が現れました。周囲にはドラム缶の風呂やビンに入れた食料らしきもの、湧き水に浸された山菜なんかもあります。さらにいくと、奥の小屋で人が作業をしている様子。あ、あれが「仙人」か、と思います。実はこの小幌にはホームレスが一人住み着いていて、マニアの間では「仙人」と呼ばれているらしいのです。人跡稀なここ小幌で暮らすまさに「世捨て人」ですね。私はさすがに声はかけず、そそくさと戻ります。