写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

22  北海道新幹線、必要ですか?

 昨日は札幌駅の「JRタワースクエア」内「エスタ」の「四川飯店」が閉店する、という話を書きました。札幌駅前について知らない方のために説明すると、「エスタ」というビル、「アピア」という地下街、「ステラプレイス」というビル、「パセオ」という駅の一階と地下にあるショッピングゾーンをまとめて「JRタワースクエア」というのです。

 

 エスタ」というのは昔「札幌そごう」だったビルです。「そごう」だったときは上階の食堂街と、地下の食品売り場こそよく利用しましたが、中層階の「そごう」は、よく行く割には若い男性が欲しくなるようなものがあまりなく、正直あまり利用しませんでした。20年ほど前、「そごう」が一度倒産したときには、記念、というか「罪滅ぼし」にYシャツを買いに行ったのを覚えています。

 

 今はビックカメラユニクロが入り、昔に比べてここで買い物をする機会は増えました。ですが新幹線の札幌駅建設に伴い、一度取り壊し、建て直すそうです。今回の四川飯店閉店の事情は取り壊しとは直接の関係があるのか知りませんが、影響はしたのかな、と思います。

 

 さらに札幌駅下のショッピング街パセオも新幹線乗り入れに伴う改修工事で、来秋以降、3年から6年間も休業することになりそうだ、という報道がなされていました。以前から長年行っていた美容室がこの「パセオ」にありました。先日書いたように、美容師さんの退職に伴い、かなり迷ったあげく、違う美容室に行くようになったのですが、前の美容室も来秋からとはいえ休業になるのでしょうね。結局、いずれ行く美容室を変えなければならなかったようです。

 

 私はこの2つに「ステラプレイス」と「アピア」を加えた、札幌駅の「JRタワースクエア」になじみの店が多かったので、複雑な気持ちです。そもそも、新幹線をつくっても乗る人がいるのかな、と思います。駅の位置も迷走して地下につくるとか、いろいろな案があったようですが、現在の札幌駅の少し東側になるようです。

 

 札幌駅前にはこの他、10数年前、「ステラプレイス」が出来たときに、「大丸」ができました。あの建物を作ったが故に新幹線の札幌駅を建設する敷地がなくなった、という説があり、JR北海道の無計画さを批判する声を聞いたことがあります。

 

 その北海道新幹線もトンネルが多い路線になる計画のようです。地形や雪を考えると仕方ないのかも知れませんが、景色を見られないのでは鉄道ファンや観光客はがっかりするのではないでしょうか?

 

 東京からの客は結局飛行機に乗る可能性が高いと思いますし、もし東京からの客が新幹線に移ったら、それはそれで空港が閑散とするでしょう。そういう事態はちょっと想像できません。

 

 新幹線が航空機より優位なのは、途中駅に停車することですが、札幌視点で考えた場合、例えば仙台や盛岡、あるいは青森や宇都宮に行くビジネス需要がどの程度あるのだろうか、という疑問が生じます。観光需要を期待しているのなら、もっと車窓を眺められるように路線配置を配慮すべきです。真っ暗なトンネルの連続では、観光客には退屈だと思います。しかも観光需要というのは、コロナ禍で改めてわかったようにかなり波動が激しいものです。

 

 また、函館は港町という機能によって発展した町ですが、新幹線が開通し、通過駅になると一層衰退するのではないでしょうか。正直、それだけが衰退の原因だとは思いませんが、新幹線札幌開通がプラスになることはないだろうな、とは思います。買い物客がむしろ多少流出する可能性すらありますね。

 

 韓国や台湾でも新幹線的な鉄道ができ、乗ったことはこのブログにも書きましたが、地下線やトンネルが多いのはがっかりでした。韓国台湾の路線は首都と第二都市圏を結ぶ大幹線で、速達を求めるビジネス需要が旺盛でしょうから、それでやむを得ないのだと思いますが、北海道新幹線の場合、事情が違うように思います。

 

 例えば噴火湾に海底トンネルを掘って森と室蘭を短絡するルートを採用するとか、貨物列車も新幹線の線路を使って輸送するために、仙台以南の常磐線をバイパスルートとして標準軌で整備し直す、というようなことができれば、それなりに北海道新幹線の存在価値は生まれると思いますが、今書いたようなことを本気で主張すれば「夢物語」だとして、一笑に付されるだけでしょう。

 

 実は伊勢湾台風の時、台風被害を奇貨として近鉄名古屋線を改軌し、名阪直通が可能になった、という前例があるのですが、東日本大震災復興の過程では「常磐新幹線」も、常磐線改軌の話も出ませんでした。高度成長期とは時代が違うし、現実として東京付近の通勤輸送との兼ね合いや貨物ステーション連絡線の建設など、これも問題が山積になる、ということは素人の私でも想像がつきます。

 

 夢のある思い切った投資が出来ないのが今の日本です。それなら失敗の可能性の高い投資は控えた方がいいように思うのですが、50年前の高度成長期の計画をそのまま中途半端に突き進めているように見えます。

 

 2030年開通予定だそうですが、そのとき、札幌駅に満員の列車が次々と発着するのか、どうもそんな姿を想像できないのです。JR北海道は今でも経営が苦しいのに、大丈夫かな、と思います。

 

 コロナ禍が思いがけない結果を生み出したように、何か思いがけない社会経済的な変化が生じ、北海道新幹線が大繁盛、ということになればいいのですが、現在の事情が変わらない場合は、相当厳しそうに思うのですが、どうなのでしょうね?