写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

07  香港への想い

 最近、気晴らしにストリートビューを見ていることが多い、という話を書くことが多くなっています。毎日、鬱気味ですので、半ば呆然と、韓国・ロシア・台湾・タイといった地域の町並みを眺めています。こんなことばかりしていていいのか、と思うのですが、そんなことでもしないと気が紛れないのです。 

 

 この前は、香港の町並みを眺めていました。私が香港に行ったのはまだ返還前の1993年でしたが、九龍側の目抜き通りであるネイザンロードにあり、実施に香港に行ったとき入った「裕華国貨」や「永安」といったデパートも、ストリートビューで見ると、いまだに健在のようです。あのとき本を買った「中華書局」という本屋もまだ残っていました。

 

 また、香港島側を走っている二階建て路面電車も健在の様子。また、1980年代に写真で見て、実際にも行ってみた、春秧街という、市場の中を路面電車が走り抜けるところも昔の雰囲気を残していました。

 

 でも、今の香港は全体的に小ぎれいになっているなあ、という印象。返還前の香港は、狭い土地に無理矢理詰め込んだようなカオス感がありました。昔は道路に横長にせり出した看板がもっといっぱいあったように思いますが、少なくなっているような印象を受けます。

 

 昔はもっとゴチャゴチャしていて、ハチャメチャな町という印象、多分思い込み、憧れと妄想も混じっていたのでしょうが、それが香港の魅力でした。そう考えると、現在ではなく、過去の香港が見たくなってyoutubeで過去の香港の動画を見たりします。かつてはもっと、アジア的な「混沌の美」とでもいうか、ある種の倒錯感をもった、妖しい魅力を放つ町でした。

 

 かつて「世界一に着陸の難しい空港」のひとつといわれた、かつての啓徳空港に着陸する航空機の動画など、よくこんなところを飛行機が飛んでいたもんだ、と呆れてしまいます。私はこの啓徳空港の時に香港に行ったのですが、このときに行って本当によかったと思います。

 

 今の香港にはなんだかヘンテコな像や建物が詰め込まれていたタイガーバームガーデンもありませんし、「無法地帯」・「東洋のカスバ」・「魔窟」とよばれた九龍城砦もなくなりました。九龍城砦は私が見に行ったときはもう取り壊し寸前でもぬけの殻になっていたのですが、それでも狭いところに無理矢理建てられた建物の集合体をわざわざ見に行ったものです。あの頃のアジアのカオスを象徴するような香港が懐かしいです。

 

 今でも残っている面白いものは二階建て電車とビクトリアピークへ向かう、急勾配のケーブルカー・そして水上料理店ぐらいでしょうか。そう思って検索したら、水上料理店も2020年から休業(事実上閉店?)とのことでした。もしそうなら香港の観光客にとっての象徴の一つでしたから残念です。そういえば、水上料理店の周りには水上生活をしている人がいたそうですが、今でもいるのでしょうか?
 
 香港も今は日本より経済的に豊かで、繁栄しているようですが、一方で2019年以来、デモの弾圧をきっかけにして大陸化が進んでいるようです。2019年に海外にあちこち行った際には、政情が不安だったので、旅行の候補にしていたものの、行きそびれました。その当時も調べたら、宿泊費も高く、意外と行きにくくなっているなあ、という印象でした。

 

 こうやってネットであれこれ見ると、以前よりは面白みがなくなったようにも思いますが、それでもいつかまた行きたいな、と思ってしまいます。 

 

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