安倍氏暗殺事件以後、政治と宗教の関係性が問題になっています。私も連日あれこれ書いているのですが、宗教と政治の関係は線引きが難しいところです。統一教会も霊感商法や多額の献金は問題ですが、合同結婚式や各種イベントは外から見て奇妙なだけで、当人たちが納得しているならそれはご自由に、と思うだけです。
よくキリスト教の牧師が統一教会からの脱会運動に携わっているケースがありますが、私はそれには違和感を覚えます。共産党のキャンペーンも、統一教会や勝共連合の反共活動への対抗として行っている側面がありますから、そこは割り引いて見ていく必要があると思っています。
一般論として政治家と宗教が相互依存するということはあり得ますし、宗教のイベントに招かれた政治家があいさつでリップサービスをするということもあり得ることです。儀礼の範囲ならやむを得ないところでしょう。
私は政治家ではありませんが、ロシアに行ったとき、ハバロフスクのロシア正教の教会をボヤーッと眺めて外に出たら、そこで、信者であろうばあさんにまくしたてられ、ロシア語だったのですが、怒られてしまったようでした。そこで、次にいった教会では一応お祈りをしておきました。信者でなくても、それぐらいは礼儀なのでしょう。
まして政治家が宗教団体に限らず、団体の会合に呼ばれたら、心では思っていなくても、一応はもっともらしく賛辞を贈るはずです。ただ、信徒になる気がないのなら、一線を超えないようにはすべきでしょうね。
問題は、やはり現在でも霊感商法や家庭を破壊するほどの高額献金を続けているのか、ということなのだろうと思います。それをやっているのなら、「家庭連合」と改名して「結婚や家庭の価値を重視する」といっている教義と矛盾しますし、政治家との関係も問題視されてしかるべきでしょう。
ですが、もし、今はそういうことをやめて穏健化しているのだとすれば、騒ぎすぎだと思います。今報道すべきはこの団体の現状ですが、政治家とのつながりを掘り起こしているばかりで、どうもその観点からの報道は少ないようです。
選択的夫婦別姓や同性婚などには保守派であればこの宗教に限らず一定数の反対があるものでしょう。この件に限らず、以前から気になっていることですが、自民党の中でだれがどういう議論をしているか、国会と違って見えにくいので、報道機関はこのあたりも突っ込んで調べてほしいと思っています。
先日、「こども家庭庁」設置という話があって、私は個人的にはまた余計な官庁を作るのか、という思いがあり、設置自体に反対なのですが、初めは「こども庁」だったものが保守派の主張を取り入れて「こども家庭庁」となったとのことでした。
自民党内で「こども庁」派は山田太郎氏あたりだったそうですが、ではその「保守派」とは誰なのか、宗教右派とつながりが強いといわれる山谷えり子氏あたりだったのか、それとも別の人物か、また、「保守派」の主張の背後に特定の宗教の影響はあったのか、そのあたりの人間関係や議論の過程をもっと詳しく報道してほしいな、と思ったりもするのです。