写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

44  2024年、台湾総統選で思ったこと

 しばらく前ですが、台湾の総統選挙がありましたね。民進党の頼清徳候補が当選しました。実際に就任するのは5月だそうですね。結構先の選挙を1月中にやってしまうようです。

 

 日本、特に保守派はこれを歓迎しているようですね。反中感情の裏返しでしょうが、民進党はもともと国民党一党支配時代に反対派が作った政党で、リベラル色の強い政党です。オードリー・タン氏を閣僚に起用したりするのもリベラル政党ならでですが、日本の保守派がこの党の勝利を歓迎しているのはちょっと面白い現象だと思います。

 

 国民党は最近では親中派ということになっていますが、台湾の独自性を強調し、独立志向があると言われている民進党に対して、「台湾は中国である」という志向が強いのが国民党でしょう。ですがこの場合の「中国」とは「中華民国」あるいは、「中華民族」という概念であって、国民党が台湾を「中華人民共和国」にしようとしているとは思われません。

 

 それでも「親中」とみなされるのは、経済的に中国に接近して経済を建てなおそうとしている経済主義的なものだけなのだろうか、あるいはもっと中華人民共和国、あるいは共産党政権との接近・統一まで意図するようになったのか、どうもそうは思えませんが、中華人民共和国民進党嫌いで国民党を密かに支持している様子でしたね。

 

 台湾はかつてNIEsの一員として、中華人民共和国を経済的に大きく引き離していましたが、いまや経済力では人民共和国より発展して先進国段階に達しているとは言え、総合的な経済力では巨大な中国にかなわなくなっている感じです。

 

 そこで、今や台湾のアイデンティティというのは、発展した資本主義というよりは高度な民主主義、ということになると思います。二大政党制が確立し、政権交代が行われる政体を持ち、そのもとで自由が保障されている、ということが中華人民共和国共産党一党独裁よりすぐれている、という意識を持っているのだと思いますが、中国が圧力をかけるほど、反発する台湾住民の投票行動は民進党に向かうことになり、経済政策等では不満が高かったといわれながらも政権交代は実現しませんでした。このままでは台湾住民は民進党の長期政権を支持せざるを得ないので、一党長期政権に道を開くことになるのかもしれません。一方、今回第三勢力として「民衆党」という政党が登場しましたが、これはネットで読んだレポートによると、ポピュリスト的な性格の強い政党だそうです。

 

 中国の圧力に対抗するため少なくとも総統選挙では今後も民進党が支持を集め、一党優位体制に突き進むのか、ポピュリスト政党が躍進して穏健な二大政党制が崩壊するのか、先述したように台湾のアイディティティーというか、よりどころは「高度な民主主義社会である」である、といいうところですが、それが崩れていく前兆があるのかないのか、注意すべき点であると思います。

 

 台湾も複雑で微妙な対中関係と国内の政治構造ををどうやりくりして平和と自己の存立を維持していくかの舵取りが大変そうです。もちろん「台湾有事」などまっぴらごめんですが、頼清徳氏、うまくやってくれるのでしょうかね?