写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

40  ベトナムの声

  ベトナム旅行に行って以来、ベトナムのことを考えることが多くなりました。

 

 私とベトナムとの縁は、やはり中学生の頃からやっていた海外短波放送聴取、「BCL」から始まります。

 

 小学6年生の夏、国際日本語放送の存在を知り、最初は中波の放送を聞いていました。それで韓国の「ラジオ韓国」にはまり、最初に手紙を送ったのはこの局だったのですが、その次に手紙を送ったのはベトナムの声」でした。

 

 正直、社会主義国からの放送はあまり面白みがなかったのですが、この「ベトナムの声」は電波も強く、安定して入感していました。この局の場合、現地人のアナウンサーが放送をするのですが、文法的には正しい日本語であるものの、話し方に独特の抑揚があり、いかにも海外放送、という雰囲気が楽しめる局でした。「マイ」さんと「ロアン」さんという女性アナウンサーが長くアナウンスをやっていたような覚えがあります。

 

 あと、各番組のオープニング音楽が素朴で懐かしさを催させるような、好感が持てるものでした。この局の場合、お便りの時間と、あとは音楽番組、いかにも南方系らしく、素朴でのんびりしたベトナム音楽が好きだったのです。

 

 ということで、韓国の次に手紙を送る気になったのでした。当時BCLでは「受信報告書」を送るとベリカードという受信証明書がもらえました。BCLブームは1970年代後半だったので、私がやっていた1980年代にはブームが沈静化しつつあった時期でちょっと寂しかったのですが、それでもよく聞いていました。

 

 返信には切り絵や絵はがきも入っていました。まだ取っておいてあるのですが、湖の上に家が建てられた写真の絵はがきが残っています。当時なぜか、ハノイ市内の湖の写真だと信じていたのですが、今回のベトナム旅行前に改めて確認すると、ハノイ市内ではなく、郊外の湖の写真のようでした。

 

 今でも放送は行われています。もっとも、今でもたまにお便り番組や音楽番組を聴くのですが、短波ではなく、もっぱらネットで聴くようになっています。もう、手紙やメールを送ることはしなくなりましたが、ベトナムと言えば、ホーチミンよりもハノイに親しみを感じるようになったのは、この局を聴いていたせいでしょう。

 

 いまでもベトナム人アナウンサー中心で、やや聞き取りにくいときもあり、フリートークではなく、原稿を読んでいるのだろうな、という感じですが、昔のアナウンサーよりは抑揚も穏やかになってるような感じがします。

 

 興味のある方は、「ベトナムの声」で検索して聞いてみてください。