写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

11  プラネタリウム

 田舎から都会に引っ越してくると、思わぬ施設を見つけることがあります。

 

 8月の話ですが、近所にプラネタリウムなるものがあるのを見つけました。初めは、そういう名の飲み屋か、あるいは真四角のコンクリートづくりという建物の雰囲気からして、ダンス教室でもあるのか、と思っていたのですが、先日通りがかると、夏なので扉が開いていて、覗いたら本当のプラネタリウムでした。

 

 何でこんなところにあるのか?と思います。案内を見ると、ちょうど1日1回の投影、14時の10分前でした。興味を惹かれたので入ってみました。料金900円。3連休なのに客は私以外におばさん1人。そもそもこんなところにプラネタリウムが存在すること自体知られていないと思います。

 

 実は私、子供の頃、金沢の家のすぐ近所にプラネタリウムがあり、小学生の頃、夏休みに岡山から金沢に「帰省」すると、冷房は効いているし、暇つぶしになるし、無料だし(県立だった)、高校野球中継よりは興味が持てたので、一日一回ぐらいの頻度で入り浸っていました。そのせいで夏の星座だけは詳しいです。

 

 ところが小学校の3年か4年の時、児童会館が移転してプラネタリウムもなくなり、縁が切れました。中学の時だったか、学校から山口県宇部プラネタリウムに行ったことがありますが、それ以来です。金沢のプラネタリウムの跡地は放置されていましたが、その後金沢にオーケストラができたとき練習場になりました。

 

 今回のプラネタリウムは、金沢のものと違って民間の施設、金沢のものは中心を向いて円形に席が配置されていましたが、こちらは一方向を見て席が並んでいます。指定席制。お勧めの席を指定してもらいました。投影機は懐かしい独特の形です。金沢の場合、夕暮れから明け方まで1時間ぐらいかけて星空が動いていく、というスタイルだったのですが、ここのはそうではなく、夏の星空と星座について録音済みのナレーションで説明する方式。音楽付きです。もちろん冷房あり。

 

 ガラガラの暗いところで人工的なものですが星空を眺めている、というのは私の大好きな「浮世離れ」の状況です。40分間の投影、と聞いていたので、このあと星空が動いていくのか、と思ったのですが、そうではなく、暗くて時間はわかりませんが20分ぐらいで終了。あれあれ、と思いました。

 

 後半は「エジプトの古代遺跡」の360度写真の投影。これはこれでなかなか、ピラミッドの周りってこんなところだったのか、とは思いましたが、エジプトでも現実に戻された気分。もっとお星様の説明してよ、星空動かしてよ、と思って見ていました。

 

 星空だけでは飽きられると思ってこういう映画を購入して流しているのか、と思って眺めていたのですが、エンディングで自社制作と言うことがわかりました。エジプトまで行く金があるのか、と思ってしまいます。

 

 明るくなると前方にステージがあり、ピアノなどがおいてあることに気づきました。ははあ、貸しステージにして収益をまかなっているのか、と思います。

 

 ところが帰宅してホームページを見ると、ステージはプラネタリウムとのコラボ用で、コンサート等のステージだけの貸し出しはしていないとのこと。経営状態が非常に不思議で逆に興味をそそられます。どうも映像制作業をやっているようですが、それでもこのプラネタリウムの建設は数千万円、下手したら億の金がかかるでしょう。「団体鑑賞」の予約が入っているようでした。「30周年」のとのことでしたが、よく30年間維持できたものです。道楽なのか、経営の秘訣があるのか、謎の施設でした。

 

 コロナ禍で投影を週末の1日一回に限っているようですが、何しろ浮世離れした施設なので気に入りました。1時間たっぷり星空見せてくれた方がいいとは思いましたが。秋になったら秋空の投影になるのでしょうから、へこんでいるときにでも、気晴らしにまた行ったらいいかな、とも思いました。