写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

17  醤油の話

 地域によって食文化は違うものですが、私は子供のとき、あちこちで暮らしましたので、そうした食文化の違いに触れることになりました。今回は醤油の思い出について書きます。 

 

   うちの母親は北陸の金沢の出身で、私も金沢市の生まれです。金沢では、市内から少し離れた日本海べりの「大野」というところが醤油の名産地で、金沢ではこの「大野の醤油」を使っている人が多いと思います。私が子供の頃は、おそらく醤油屋さんだと思いますが、ときどきビン入りの醤油を配達しに来ていました。今調べてもウェブサイトや情報が出てこないのですが、たしかオレンジ色のラベルの「キッコーヨシ」という醤油だったと思います。調べても出てこないということは、今ではもう廃業してしまったのでしょうか?

 

 余談ですが、なぜ醤油メーカーには「キッコー(亀甲)」という名前がつくメーカーが多いのでしょうかね?

 

 さて、我が家は父親の仕事の都合であちこち点々と引っ越しをする家でもありました。岡山にいたときは全国ブランドの大手メーカーの醤油しかなく、うちの母親は「くどい」といってこれを嫌っており、わざわざ金沢から醤油を取り寄せていた時期もありました。

 

 大阪にいたときは大型スーパーが近くにありましたから、あちこちの醤油が売り場に置いてあり、並んでいる醤油を片っ端から買って試してみたことがあったのですが、どうも母親の気に入る醤油はありませんでした。

 

 ところが山口と福岡にいたときは、地元の醤油メーカーが作っている醤油が気に入っていたようです。このあたりでは佐賀の「宮島醤油」という醤油があり、これなら文句がないようでした。

 

 一体どういうことなのだろう、ということで原材料表示を見たことがあるのですが、金沢と九州の醤油は添加物が入っていて、色は比較的薄いのに甘いのですね。以前は「新式醸造」という表示がされていました。一方、大手メーカーのキッコーマンやヤマサの醤油は「本醸造」で甘くはありません。その分塩分を強く感じて「くどい」と感じられたのでしょう。なお、ネットで調べると、今は地方の醤油でも「本醸造」で、必要に応じて添加物を入れているようです。

 

 山口にいた頃は、普段使いの醤油とは別に、「刺身醤油」というものがあり、刺身の時はこれをつけて食べていましたが、この醤油は普通の醤油に比べて濃く、甘いのです。九州・山口地方独特の醤油のようでした。大手メーカーのヤマサにも「刺身醤油」というのがありましたが、これとは全くの別物でした。

 

 今、私は北海道に住んでいますし、さほど醤油にこだわっているわけではありませんから、大手メーカーのヤマサ醤油を使っています。田舎に住んでいるときは「キッコーニホン」という地醤油が安売りされていることがあり、これを買って使っていたこともありました。

 

 醤油にも地域性がありますね。一度金沢か九州の醤油を手に入れて、いつも使っている醤油と改めて味比べをしてみたいな、と思ったりします。