写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

68  きびもちを買って食べてみました

   私の一番古い記憶の一つに、冬の金沢の竪町商店街で迷子になり、なぜか「佐藤さん」という古い和菓子屋さんの店内にいて、そのあと親が迎えに来た、というものがあります。お菓子屋さんだったので、小さい頃は「佐藤=砂糖」だと思っていました。

 

 この店、迷子になったときは古い建物だったのですが、小学校に入るころ建て替えました。そして、平成に入った頃だったのか、閉店してしまいました。

 

 この店で「きびもち」というものを売っていました。キビが入った赤いお餅です。これが妙に好きだったのです。金沢を離れても、祖母がたまに持ってきてくれました。ただ、不思議だったのは、転居した岡山の名産に「きびだんご」があり、これは白っぽいのですね。なんで金沢のきびもちは赤いのだろう、と思っていました。

 

 その後、ネット時代になり、岡山のきびだんごはキビを使っていないとか、金沢のキビ餅は「たかきび」という、中国でいうコーリャンの一種を使っているのだとかいうことを知りました。本来のキビであれば黄色くなるはずですね。

 

 岡山のきびだんごはその後も時々入手して食べていましたが、金沢のきびもちは祖母が死んでから食べる機会はありませんでした。

 

 ところが、昨年の年末に札幌の東急百貨店の地下「斗棒餅」(とぼもち)というものを見つけました。何種類かあるのですが、そのなかに赤い「きびもち」もありました。手に取ってみると、やはり石川県の業者の製品です。そのときは買わなかったのですが、年が明けて再度訪れる機会があったときにまだおいてあったので、買ってみました。

 

 どういう食べ方がおいしいのだろう、と思いましたが、とりあえず、普通にオーブンで焼いて砂糖醤油をつけて食べることにしました。

 

 砂糖醤油の味が強かったせいか、普通の餅と比べて極端に味の差があるわけではありません。わずかの差ですね。昔のキビ餅はもっと風味が強かったように思うのですが、何十年も前の記憶なので定かではありません。まあ多少、白いお餅に比べて素朴な味がする、というか、本当に微妙な違いだけです。それを言葉ではうまく表現できません。無理矢理表現すると、しっかり感がある、というか、そういうところです。

 

 さて、商品名の「斗棒餅」とはなんぞや、と思ったのですが、棒状のお餅を長方形になるように切るのでこういう名前なんだそうです。

 

 まあ、正直、ちょっと高かったのですが、懐かしさに惹かれて買ってしまいました、というお話でした。