写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

69  2024年自民党総裁選の結果を受けて

  自民党の新総裁に石破茂が選出され、総理大臣となる運びとなりました。今日、国会で首相指名選挙が行われ、石破新内閣が発足する予定だということですね。もう事前情報がかなり広がっていますが、どういうことになるのでしょうかね?

 

 私は自民党総裁選での第1回の投票の時、高市早苗氏が1位だったので、高市氏が決選投票でも勝利するのではないか、と思っていたのですが、案に相違して、石破氏が逆転勝利しました。

 

 以前に自民党総裁選のことを書いたときにも書いたのですが、個人的には消去法で石破氏かな、という感じでした。そして自民党そのものも、おそらく消去法で石破氏を選出したのではないかと思っています。

 

 有力3候補のうち、小泉進次郎氏、高市早苗氏はそれぞれ若さ、女性という新鮮さで当初こそブームを起こす可能性はあるものの、小泉氏は本人、高市氏は支持層に問題があり、馬脚を現すと自民党が選挙で惨敗するリスクがあります。

 

 それに対して、今回の総裁選での失点が少なく、選挙で大勝ちもしないだろうがいちばん負けも小さいと思われる石破氏がいちばん無難だと思われて選ばれたのが実際のところではないかと思います。石破氏を積極的に評価するより、小泉・高市両氏が選ばれることに対するリスクを恐れた消極的な支持でしょうから、党内基盤は弱く、人事などで躓けば党内の混乱や抗争を招く恐れもありえます。

 

 小泉進次郎は、やはり論戦の中で識見不足が露呈した感がありました。以前私も批判した「解雇規制緩和」も本人の政見と言うよりはおそらく新自由主義を標榜するブレーンが書いたもの、あるいはもっと浅薄に父親の政策の継承をイメージづけてブームの再来を狙ったものかもしれませんが、いずれにせよ、反発が大きく、釈明に追われる結果を招きました。本人の信念に基づくものではなかったのです。彼の場合、本人の識見不足が失速の原因で、3位に終わる結果になりました。 

 

 高市早苗の場合、私は高市氏本人に関しては慎重に政権を運営すれば案外悪くないかも、とは思うのですが、支持層の質が悪すぎます。ネット上の気味の悪い高市礼賛、推薦人に裏金議員が名を連ねたこと、ルール違反のリ-フレット送付など、首をかしげる動きが多く見られました。私の家の周囲にも、自民党の総裁選なのに高市支持を訴える選挙カーが出現していましたが、この奇妙な熱情は何なのだろうと思います。

 

 こうした一部の熱狂的支持の裏で、自民党の宿痾であるといってもよい「金」と「右」の問題を抱えている支持層が、彼女を隠れ蓑にしようとしているのがありありです。こうした議員や党員たちの支持する人物では、自民党が抱えている問題は改善されないでしょうし、それが一般国民の知るところとなれば、化けの皮が剥がれて支持率は大幅に低下し、選挙で惨敗する可能性があります。

 

 また、高市支持層には積極財政や金融緩和を期待する向きが目立ちますが、昔の保守右派は勤倹節約、窮屈なまでの謹厳実直な道徳性を標榜したものです。今の「保守右派」は「ヤンキー右翼」とでもいうものに変質しており、こうした価値観が薄れ、放漫さを求めています。それについての論考は機会を改めて論じたいと思いますが、この変質が高市陣営のうさんくささにつながっていると感じています。

 

 他の候補者のうち、河野太郎氏、林芳正だけはコメントを付しておきたいと思います。

 

 河野氏は、率直に言って「しなくてもいい改革」を打ち上げてばかりでした。確定申告への一本化、被選挙権の引き下げ、解雇規制緩和、健康保険証の廃止への固執などには私は賛同出来ません。

 

 個人的には財政規律の重視と東大の地方移転には賛成ですが、改革に前のめりになっている感が拭えませんでした。これが逆効果になって惨敗したのではないでしょうか?

 

 林芳正は第1回投票で健闘しましたが、識見の面では穏健保守で悪くないかも、という印象を持ちました。ですがやはり世襲議員であり、衆議院鞍替えの時の強引な手法には疑問を感じましたし、自民党の中では比較的マシな方なのかな、という程度に過ぎないのかもしれません。

 

 長くなりましたので、石破氏個人に対する私の見方、合わせて立憲民主党代表選の結果を踏まえた今後の政局展望は近いうちに記事化しようと思っています。