写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

93  「参政党」の主張を考察する

 連日、「参政党」について考えを巡らせています。

 

 参政党は国粋主義的な「日本人ファースト」、反ワクチンなど自然主義疑似科学的な「オーガニック」志向、そして「積極財政」この三つを柱にしていると思われます。

 

 この中で刺さっているのは「日本人ファースト」「積極財政」の二つでしょう。

 

 参政党の「創憲案」を見ると、どうもこの党のナショナリスティックな主張というのは、排外主義というよりもファッション的な国粋主義、粋がっている、という印象です。本気でこういうことを考えているのか、かっこつけではないか、という感じがします。

 

 しかしこの主張が刺さる。というのは、安倍政権以来の「岩盤保守層」(私が言う「右翼革新派」)と言われる人々の一部が、岸田・石破の穏健保守的姿勢に飽き足らず、この党に流れてきているからではないか、という見立てです。この層はここ20年ほどの間、自民党右派を中心としつつも、様々な政治勢力の間を流れていましたが、ここに来て参政党に集まりつつある、というところでしょうか。

 

 ここに結集しつつある人々のコメント類は、党そのものの主張よりも極端なものも見られますが、なぜ日本保守党ではなく参政党なのか、というところはやはり前回までに指摘した自己啓発セミナー的手法」の影響なのかもしれません。

 

 2つめの「積極財政」財政均衡主義を無視した、財政状態を考えるとある意味非現実的な減税論ですが、これは従来左翼革新派が主張してきたことです。

 

 ところが、このところ目立ってきた現象として、これを右翼革新派が主張するようになった、ということが挙げられます。おそらくその背景には高橋洋一氏などの評論家やMMTの主張の影響などがあるのでしょう。

 

 この問題について経緯をたどってみると、それだけでひと記事書けますから、詳細は省きますが、従来左派政党や近年では新左翼的な「れいわ新選組」が主張してきた極端な主張を参政党など保守派が取り入れ、「れいわ」などから支持者を奪っている、といえると思います。一見奇妙な「参政党かれいわ新選組か」という主張は、これが背景にあるのでしょう。

 

 ただ、参政党の積極財政論は、党本来の主張というよりも、支持を得るためにとってつけたような印象があります。ですが参政党支持者に親和性が高く、やはり「刺さった」のだと思います。

 

 一方、参政党が用意したもう一つの「トリガー」である、「反ワクチン」「オーガニック」など疑似科学自然主義的主張はあまり人々に刺さっているとは思えません。むしろ創憲案とともに、参政党のアキレス腱になっている感すらあり、参政党は現在、あまり表立ってこの手の主張をするのを控えている感があります。

 

 なぜこの主張が刺さらないのか、「日本人ファースト」以上に刺さってもらっては困る主張ですが。コロナ禍も一段落して「反ワクチン」が切実な主張ではなくなっていることも大きいでしょう。また、党内でこの手の主張をしていた人々が党から離れていった、という事情もあるようです。

 

 しかし「行き過ぎ」があったとしながらも、完全にこの旗を降ろしたわけではないようですし、一部には「刺さる」人もいるようで、女性支持者の一部にはこの主張に共感して支持するようになった、という人がいるらしいです。しかし、参政党支持のメインストリームにはなっていないようです、

 

 私は前回までに指摘した党や代表の体質、そしてこの3つの主張とも「刺さらない」ので、全く参政党を支持したいとは思わない立場です。100%否定ではなく、ジェンダー問題などには一部自分の考えに近い主張もありますが、だからと言ってわざわざ支持する政党ではありません。「終末期延命措置は全額自己負担」も主張に入れるようになってきているようですが、これまた「常識への逆張り」感のある主張です。

 

 来週には選挙結果が出ますが、参政党についての考察はこれぐらいにして、結果を興味深く眺めたいと思います。結果によってはそうも言っていられなくなるかもしれませんが。