写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

21  もとに戻そう

 先日「MSN天気」ライブタイルの表示が変更になり、面白みがなくなった、という記事を書きました。前の方がよかった、と思っても、こういうのは一度変えてしまうと元には戻らないのですね。

 

 これはいろいろなところで見られるもので、政治や社会制度など、あちこちで「改革」が叫ばれ、あれこれ変更されるのですが、一度変更、あるいは改革されてしまうと、それがうまくいかなくても、そのまま、ということが多いものです。

 

 昨年、2度目の大阪都構想に関する住民投票がありました。私個人は北海道民ですが、個人的には維新の強引なやり方に対し、懐疑的に感じていました。結果、前回に続いて否決されたのですが、その理由はさまざまなものがあったのでしょうけれど、決め手の一つとなったといわれていたのが反対派の「大阪市がなくなっていいのですか?」という主張でした。

 

 一度「大阪都」ができてしまうと、それがうまくいかなくても「大阪府大阪市」に戻すのはほとんど不可能でしょう。それに対する不安がこの住民投票を否決に導いた一因であったように思います。

 

 他に思いつくものとしては、国鉄改革があります。1987年に分割・民営化されてから30年以上たちました。本州3社はともかく、JR北海道や四国は相当苦戦しているようです。北海道民の鉄オタとしては、「JR北海道大丈夫か?」という心配をしています。赤字ローカル線の多い北海道だけで民間の鉄道会社を経営していくのは至難の業です。だからといって今更再国有化するのは難しいでしょう。国鉄改革とその評価について書くと、話が広がり過ぎるし、かつての国鉄に戻すのがよいとは思いませんが、現状でよいのか、とは思いますね。

 

   法科大学院なんてのもありましたね。初めは高い合格率を目指していたらしいですが、雨後の竹の子のごとくあちこちにでき、ほとんど新司法試験合格者を出せず、潰れた法科大学院も続出しました。今思えば、教育に競争と淘汰を導入する実験だったようにも思えますが、犠牲になったのは学生で、お金と時間を使ったあげく、三回不合格だと受験資格がなくなるという謎の制度もありました。それにもかかわらず弁護士が増えすぎ、「食えない弁護士」も続出したとか。あれも何だったんだろうと思います。

 

 あとは「教員免許更新制」なんてのもあります。これも第一次安倍晋三政権のゴリ押しでした。Yahooニュースなどで関連記事が出ると、コメントがつきますが、それを見ると、不要論が非常に強いようです。でも、なくなりません。民主党政権になったときになくなるのかと思いましたが、民主党内で議論が迷走したようで廃止できませんでした。第二次以降の安倍政権では、もちろん廃止されませんでした。

 

 思いついたのはこの4つの件ですが、例えば憲法改正だって、いつまでもできないのは、それでうまくいくのか、という不安でしょう。うまくいかなかったら元に戻せるのか、というと、それがとても難しいので変えられない、というところもあるのではないでしょうか?

 

 そんな大げさなことでなくても、一度変えたことを戻すというのはなかなか難しいことです。改革してうまくいかなかったとき、元に戻すことが難しい、ということが改革をためらわせる要因になっているように思います。さりとて朝令暮改というのも困りますが、元に戻せることは元に戻した方がいいのでは、と思うこの頃です。