写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

42  クジが当たって大食い孤独

   先日、いつもコメントをくださる「ナツネコ」さんが「クーポン」の記事を書いていたので、思い出したことがあります。今回はこれについて書くことにします。

 

  もう10年以上も前、2010年の年末でした。当時田舎に住んでいたのですが、小樽の「ウイングベイ」というショッピングセンターに出かけたのです。そのとき、オムライス屋に入りました。一時よく行っていた店です。

 

 支払いの時、クジを引いてください、というので引いたら「超大吉」の2011円割引、というのが当たりました。普通なら喜ぶところですが、そもそも滅多に来ませんし、オムライス屋で2011円も食事をすることがありません。誰か連れて行くとしても、思い浮かぶ相手もいません。孤独だなあ、なんて余計わびしくなって帰ってきました。

 

 そして2011年を迎え、3ヶ月が過ぎ、この「2011円割引券」の期限が迫ってきました。札幌で用事を済ませたあと、小樽へ。職場の人とか、心当たりを何人か聞いたのですが、一緒に行く、という人が結局見つからず、一人です。ショッピングセンターのレストランですから、高いものでも1000円以下。おまけに土曜夜ですからこの店にしては混んでいてカップルや家族連ればかりです。 
 

 ずっとどうしようかな、と迷っていて、しかし無駄にしてはならない、というケチ根性で、躊躇しながらも思い切って入りました。若い男の子の店員が注文を取りに来ます。

 

 恥を忍んで、オムライスとハンバーグ・アイスコーヒーとデザートを注文。デザートに高いフルーツパフェを注文したら「今切れている」とのこと。仕方ないので安いプリンを注文。割引券を出して「この金額以下でも大丈夫ですよね」と確認。「これだけ注文して金額いくらぐらいになりますか?」と聞いたら、「1800円ぐらい」とのことでした。
 

 まずアイスコーヒーが来て、飲んでいたら、次になんと同じスープが2つ来て、泣きそうになりました。気を利かして1つだけもってこいよ、と思ったのですが。店員は若い兄ちゃん姉ちゃんでそういう気の利かせ方をしません。

 

 先にハンバーグが来たのですが、ハンバーグ「セット」だったのです。ライスがついています。「単品で」と確認すればよかったのですが。思わず「ライスつくんですねえ」と姉ちゃん店員にいってしまいました。

 

 やむを得ず食べていたら、さらにオムライスライスの横にオムライスがあるという、この状態は死ぬほど恥ずかしいです。もう、ひとり大食い大会状態です。まわりの家族連れやカップル客の中で、孤独な人生であることを痛いほど感じながら食べていました。そして無理矢理に完食。なんかテレビの企画ものみたいです。いい年をして何をやっているのかと思います。

 

 どうせ店員内心で笑っているのだろうなあ、と思いつつ会計。結局やはり1800円ほどでした。で、レジの女の子は「おつり出ませんけど」と聞くので、つい、「それなら持ち帰り何か出来ませんか?」と聞いてしまい、「生ジュースなら持ち帰りできる」とのことでそれを注文。

 

 「しばらくおかけになって待っていてください」とのことで席に戻ります。いたたまれない状態でしたが、我慢。案外長く待たされましたが、早く立ち去りたかったので余計長く感じたのかもしれません。結局支払いは2200円になり、189円を支払いました。持ち帰り容器に入ったジュースを持って退散。 

 

 小樽駅まで持ち歩いて、乗り換えた列車でジュースを飲みました。もう当分、あのオムライス屋に恥ずかしくて行けないなあ、と思いつつ飲んでいました。孤独な人生を送っていると、ラッキーなことも素直に喜べなくなる、というのを痛感した出来事になってしまいました。