政治家女子48党(旧NHK党・こんな政党名を書くこと自体嫌ですが)の「ガーシー」氏が参議院を除名されましたね。一体この党もこの人も、どうなっているのか、と思います。
私もYouTubeをよく見ますが、選挙があるまで「ガーシー」という人の動画を見たことがありませんでした。存在も知らなかったわけです。それが30万票近くも集めて、NHK党の比例選で当選してしまった。そのこと自体が驚きでした。そしてこの人、ドバイにいて、逮捕の恐れがある、とかいって国会に一度も来ず、結局除名されてしまったわけです。
半世紀前、青島幸男氏とか横山ノック氏とか、テレビタレントの知名度を武器に参院選で当選した「タレント議員」というのが生まれました。中には能力不足の人や物議を醸す人もいましたが、一応国会には出て、それなりの活動はしていました。今度は全くまともに活動をしなかったということで除名、ということに相成ったわけです。
一方で、昔から、奇妙な主張を掲げて選挙の賑やかしとなる、「泡沫候補」というのも一定数いました。選挙公報や政見放送で思わず失笑してしまう候補や政党もかなりあったことも事実です。ですがこれらはあくまで「泡沫」であり、昭和の時代に当選することはほぼありませんでした。私も面白がって注目はしていましたが、投票したことはありません。
ところが、こういう候補が平成の終わり頃からポツポツと市議選などで当選するようになり、ついに参院選で「NHK党」が2回続けて当選者を出すに至りました。私が参院選でこの党が初めて比例区で最後の議席を獲得したとき、絶句してしまいました。
NHK党の場合、テレビを見なくなる人や貧困化が進んでいる中で、NHK料金を払う必要があるのか、NHK改革が必要ではないか、という思いを持った人が一定数本気で投票した可能性も否定できません。
しかし、(前)党首の立花孝志氏は議員をすぐ辞め、党名をむやみやたらに変えたり、やたらあちこちの選挙に立候補したり、そうかと思えば、ガーシー氏やへずまりゅう氏を立候補させたり、という一連の行動は、政治を愚弄しているとしか思えないものです。
ガーシー氏が除名になっても、結局(旧)NHK党から繰り上がりで当選者が出るようですが、これもガーシー氏の次に得票の多かった「山本太郎」氏(れいわ新選組の同名候補への当てつけ、あるいは票の分散を狙ったものでしょう)ではなく、4位の人物を恣意的に繰り上げ、しかも国会に出席させない、といっている、という報道も目にしました。
これが本当なら、またまた政治を愚弄しているとしか思えないし、このような党のあり方になんらかの規制を加えるべきだ、との声もありますが、法の穴をつくやり方は法律だけではなかなか制御しきれず、無理に規制すると他の政党の政治活動にも支障を来す恐れもあります。
除名、というのも本来は極力避けるべき、慎重に扱うべきことですが、今回はやむを得ないと私も思います。
でも世の中には一定数、愉快犯のごときこの党やその候補者にを面白がって投票する人がいるのでしょう。そしてそれが議員を国会に送り込むだけの数になってきた、という事実もあるのでしょう。(旧)NHK党もそうですが、「NHKをぶっ壊す」を信じて投票した前々回はともかく、その後の行状が報道されたあとの前回選挙でも投票して国会に議員を送り込んだ有権者にも責任があると思います。
民主主義の危機なのかもしれませんが、200人以上の参議院議員のたった1~2人、これも民主主義のコスト、世の中の2%ほどはこういう人間なのだ、と割り切って見ていくしかないのか、蟻の一穴となって民主主義の破滅につながっていくのか、前者であってほしいと思うのですが、こういうところにも日本の劣化が表れているのかもしれません。