「日本人ファースト」なる言説や排外主義の風潮の背景に、日本人がゆとりを失い他者へ配慮することができなくなった、ということがあると思う、という主旨のことを前回書きました。
もう一つ、今回の参議院選挙で気になっていることは、やたら減税減税、ひいては消費税廃止だの給付金だの、一方では積極財政と称して、バラマキにつながる各種の主張が花盛りである、ということです。これも今の日本のゆとりのなさの反映であるように思っています。
自民党は2万円ずつ給付金を配るといっていますし、れいわ新選組が消費税廃止を主張しています。その他の政党も多かれ少なかれこの手のことを主張し、参政党なども「積極財政」と称して減税を主張しています。
私もこのところ、お金がなくなるのが非常に早くなり、かなり苦しい状態に置かれています。それでもなお、安易なバラマキや減税には懐疑的な立場なのです。自分はデフレーショニストであることは自覚していますが、今は物価高、インフレを止めること、そして円安の是正が優先課題だと思っています。
国の財政状態を考えるとき、減税合戦、バラマキ合戦をしている時ではないだろうと思っています。それに、今の物価上昇はかなり急激で、このままでは消費税を減税しようが廃止しようが、それではいずれ賄いきれなくなるように思うのです。
しかし私は生活が厳しくなったとは言っても、50代の一人暮らしでまだマシな方なので、こんなことが言えるのかも知れません。若い世代で子育てをしている家庭などはもっと切実なのでしょう。
もし私も家族持ちだったら、今の自分の収入では生活を賄いきれなくなっているかもしれません。そのゆとりのなさが、人々が新興政党の耳障りのいい主張に惹きつけられている原因であるように思います。
しかしながら、今は物価こそ上がっているものの、そこまで景気が極端に悪い状況ではないということです。ですから、今なすべきことはアベノミクスでビショビショ、ジャブジャブ状態になった異次元緩和の後始末であると思うのです。
ただ、日銀の金融引き締めも、一つ間違えば国債暴落などの恐れがあり、極めて慎重に対処せざるを得ない状況のようです。私でさえ、今「金融引き締め」と書いて、この言葉を使ってよいかどうか躊躇しましたが、日銀は政策的にはもちろん、言葉の使い方ひとつでも私とは比較にならないくらい慎重にならざるを得ないわけで、極めて厳しい状況に置かれています。
そして円安も「安い日本買いたたき」の原因になっていると思います。今、問題になっているオーバーツーリズムも中国人の「土地買い占め」も、円高になれば多少は緩和するはずです。しかし、円安を是正するのは、今の日本の国力ではかなり難しいことも認識しています。
ということで、私が本当にやってほしいことは、物価高抑制と円安の是正なのです。ですが、それは経済をコントロールすることですから、決して易しいことではありません。ですから各政党は減税だのバラマキだのに走るのでしょう。
そして私は近頃の財務省悪玉論にも懐疑的です。財務省解体デモなんていうのが最近話題になっていますが、財務省を悪玉扱いにしてばかりでいいのでしょうか?私は放漫財政の方により不安を感じ、このままではいずれ何らかの破綻が来るのではないか、という不安感さえ持っています。
私は今の世論と政治・経済状況に暗澹たるものを感じ、せめて自分にはそのツケが降りかかってこないように願うばかりですが、いつか降りかかってしまうかもしれません。
私はメンタルが不安定な方ですが、近頃は仕事の面よりも、こうした政治的社会的状況の方に悲観的になり、鬱になることが多くなっています。
今の状況、何とかならないものなのか、と思っていますが、選挙情勢を見ると、悲観的にならざるを得ないですね。本当にこれでいいのでしょうか?